貿易縮小、世界景気下押し 日本は輸出8カ月連続減

2019/8/19 21:00
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貿易が縮小し、世界で景気を下押しする流れが強まっている。日本の輸出は7月まで8カ月連続で減り、10月の消費増税に外需不振のリスクがのしかかる。米中の関税合戦はサプライチェーン(供給網)を通じて世界各国の経済に影を落とし、中国への輸出が多いドイツなど4~6月期にマイナス成長に沈む国も出てきた。外需頼みの成長加速シナリオは描きにくい。

財務省が19日発表した7月の貿易統計によると、日本の輸出は前年同月比1.6%減の6兆6432億円となった。前年の水準を下回るのは8カ月連続だ。長期の前年割れは円高が進んでいた2015~16年(14カ月連続)以来。しかも今回は為替要因より、貿易そのものの停滞が大きい。

足元では直接の対中輸出(7月9.3%減)だけでなく、中国経済の減速の影響を受ける周辺各国・地域向けの落ち込みも目立つ。7月の輸出減少率はアジア向け全体で8.3%に達した。

韓国向けは6.9%減。日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部の原実主査は「韓国から中国への半導体輸出が鈍ったため、日本から韓国に供給する半導体製造装置や周辺部品も需要減が目立つ」とみる。対韓輸出管理の厳格化の影響が出る前から、実需が縮んでいたことがうかがえる。

世界経済を見渡すと、足元では半導体関連などの在庫調整が一巡し、成長鈍化が一服しつつあるとの見方もある。経済産業省によると、電子部品・デバイスの在庫指数は6月に前年比で17年10月以来のマイナスになった。7月の輸出も数量でみると1.5%増と9カ月ぶりのプラスに転じた。

それでもなおエコノミストの間では米中貿易摩擦によるマイナスの影響の方が大きいと懸念する声が多い。反転とも受け取れる輸出の動きについても、浜銀総合研究所の鹿庭雄介氏は「米国の対中関税の一段の引き上げを前にした駆け込みの要素がある」と指摘する。

米中両国が歩み寄る可能性は乏しい。明治安田生命保険の試算では、米中が互いに全品目で関税を25%に引き上げると、日本の輸出は19年に0.3%、20年に1.2%下押しされる。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏も「輸出がこのまま回復に向かう可能性は低い」とみる。海外経済は全体として製造業を中心に減速する傾向に歯止めがかかっていないためだ。

オランダ経済政策分析局によると、世界の貿易量は最新の5月分が前年同月比で0.4%減った。近年は4~5%の伸びが続いていたが、18年末以降は低空飛行が続く。

ドイツは14日発表した4~6月期の実質GDPが前期比0.1%減となった。3四半期ぶりのマイナス成長だ。自動車など製造業の生産・輸出がさえなかった。直近の6月の輸出額は前年同月比8.0%も落ち込んだ。欧州連合(EU)離脱という火種を抱える英国も4~6月期にマイナス成長に転じ、欧州経済全体に暗雲が漂っている。

国際通貨基金(IMF)は7月の世界経済見通しで19年の成長率予測を0.1ポイント下げ、3.2%とした。貿易の停滞が主因だ。日本は4~6月期に3四半期連続でプラス成長を保ったが、外需の寄与度だけみればマイナスで、個人消費が景気を支える構図だ。10月に消費増税を控え、政府の対策で消費の腰折れを回避しても、10~12月期は一時的なマイナス成長に陥るとの見方が大勢だ。

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