ニュース

フォローする

安井豊明氏「個性集めて組織力発揮、企業でも実践」
ラグビーと私(4)ヒト・コミュニケーションズ社長

ラグビーW杯
2019/8/20 5:30
保存
共有
印刷
その他

スーパーラグビーに参戦するサンウルブズの公式スポンサーを務めるヒト・コミュニケーションズ。安井豊明社長は個性を集めて戦うラグビーを企業組織とだぶらせる。

安井豊明氏

安井豊明氏

――ラグビーとの出合いは。

「地元の大分舞鶴高校は小学生のころから憧れの存在だった。田舎にある公立の進学校が、スポーツの全国制覇などなかなか狙えない。1975年、優勝して地元に凱旋した選手を迎え、子供心に黒のジャージーがまぶしかった。中学校にラグビー部はなく、バレーボール部だったが、いつかは自分もこの仲間に入りたい、と大きな夢を描いていた」

――初志貫徹で大分舞鶴に進んだ。

「すべてをそぎ落とす厳しさで、切磋琢磨(せっさたくま)する日々だった。正直、つらかった思い出ばかりだ。入学する前は3年連続で花園(全国大会)ベスト4。私が2年生の時、監督が『今年、勝てなかったら(来年は)チャンスはない』と口を滑らせたことがあった。比較的小柄だった我々の代は期待されていないことが分かった」

「監督の予言は的中した。3年生の春の九州大会、2回戦で沖縄のコザ高校に敗れた。舞鶴が沖縄の県立高校に負けたとOBも含めみんなからダメ出しされ、地元の新聞にまでたたかれた。学校や地域の人に顔向けできない。目の前が真っ暗になったことを今でも鮮明に覚えている」

――それでも、3年生の冬は花園で準優勝。決勝戦は松任谷由実さんの名曲「ノーサイド」のモデルになったとされる。

「自分たちは弱いという劣等感の中でもがき苦しんだ。夏合宿ではそうそうたるOBが集まり、猛練習の日々だった。合宿中の練習試合は一度も負けるな、と言われるが、そううまくいくはずもない。負けてさらに厳しく鍛え上げられた」

「失敗を繰り返すと、あいつを使うのはやめましょうと監督に進言する声が聞こえてくる。ドンマイ、ドンマイと慰め合う文化はなく、緩みは一切なかった。自分たちが強くなったとの感覚はなかったが、最終的には花園で準優勝できた。高校時代はある意味、社会の疑似体験をしていた。最後は印象に残る1年間だった」

1984年1月の全国大会決勝で大分舞鶴は天理(奈良)に2点差で敗れた(写真は表彰式、左から4人目が安井社長)

1984年1月の全国大会決勝で大分舞鶴は天理(奈良)に2点差で敗れた(写真は表彰式、左から4人目が安井社長)

――ラグビーの経験が仕事で役立ったことは。

「現役時代は分からなかったが、特に経営者になってからだ。39歳で社長に就任し、当初は会社がなかなか一つにまとまらなかった。小さなベンチャー企業に優秀な人材が集まるわけでもないが皆、生きる力や情熱は持っていた。どうすれば勝てるかと悩み、個で戦うのではなく、グループ力で勝負しようと考えた」

「背が高い、太っている、足が速い――。15人の個性を集めて適材適所で戦うのがラグビー。企業組織も同じと考え、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンを実践することにした。ラグビーをやっていなければ生まれない発想だ。自分の個性が生きる仕事を任せれば、社員は会社のために最後まで責任を果たしてくれる。組織力を生かす事業モデルにシフトすると、結果が出始めた」

――自身の考え方を社員にどう伝えるのか。

「選手として得た学びを論理的に整理して伝えているだけで、実際に社員にラグビーを使った例え話はほとんどしない。経験者はゼロで、大半はファンではないからだ。経験を知恵に変えることが大事だ。ただ、よっぽど魂を込めて伝えないと社員の心には響かない」

「私は格言のようなものが好きだが、例えば『人は自分のためだけには頑張れない』というのがある。家族のため、社会のため、何かのためになっていることを糧に生きる。人間はそういう動物なのだと社員には教えている。誰かのために頑張った結果、自分に何かが返ってくる。そんな人生観を得られたのは、ラグビーのおかげと言っていい」

――ワールドカップ(W杯)では、公式オンラインストアの運営や12会場のボランティア研修などを担当する。

「アジアで初めて開催されるW杯に携われることは本当にうれしい。ラグビーのグローバル化が進む中、アジアをリードする日本の存在を世界に示してほしい。W杯を礎に日本ラグビーのさらなる発展を願っている」

(聞き手は桜井豪)

 やすい・とよみ 88年(昭63年)福岡大卒、富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。01年ビックカメラ入社。04年から現職。

ニュースをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

ラグビーのコラム

電子版トップスポーツトップ

ニュース 一覧

フォローする
宝くじ収益金など公金に頼らずとも運営できるかが、次なる課題に(ラグビーW杯の決勝に詰めかけた観客)

 「食品の規制を緩和しました」――。ラグビー・ワールドカップ(W杯)の開催中、大会組織委員会の告知が話題を呼んだ。禁止していた食料品の持ち込みを開幕4日目で認めたのだ。需要の読みが外れて上振れし、売店 …続き (12/3)

ラグビーW杯の関係者が秋元克広札幌市長を表敬訪問した(左から嶋津氏、秋元市長、森氏)

 日本ラグビー協会の森重隆会長とラグビーワールドカップ(W杯)組織委員会の嶋津昭事務総長らが28日、秋元克広札幌市長を表敬訪問した。森氏は「W杯は大成功に終わった。開催都市が頑張ったおかげだ」と感謝の …続き (11/28)

 ラグビーの国際統括団体ワールドラグビー(WR)は14日、ワールドカップ(W杯)日本大会での言動で7万ポンド(約980万円)の罰金を科したスコットランド協会が処分を受け入れ、反省を表明したと発表した。 …続き (11/14)

ハイライト・スポーツ

[PR]