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パラ教育で偏見なくす 元金メダリストが子供に託す夢

IPC教育委員・マセソン美季さん(1)

東京パラリンピックまで25日で1年。国際パラリンピック委員会(IPC)教育委員のマセソン美季さん(46)は、子供の教育にパラを取り入れようと奔走している。作成に携わった教材を片手に、学校の先生に活用を働きかける。根底には、交通事故で車いすを使うようになった後、長野大会で金メダルをとった経験がある。障害に対する偏見や差別をなくすのが夢だ。

◇   ◇   ◇

パラリンピックを用いた教材を作成し、普及に奔走している(2019年6月、東京都内の小学校で)

パラリンピックというと、大半の方が「障害のある人」を思い浮かべるのではないでしょうか。障害という言葉には「かわいそう」とか「大変そう」といった先入観がつきまといます。

でもパラの選手たちは障害を言い訳にしません。できないことにこだわらず得意なことを伸ばしていけば、一体どんなことができるのだろうという、人間の可能性にこそ注目してほしい。そう考えて「アイムポッシブル(私はできる)」という教材を作りました。

公益財団法人、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ、東京・港)の支援があったから実現できました。IPCの公認教材として、日本はもちろん、全世界で使ってもらいたいです。

 教材は3つの部分からなる。まずパラの競技や歴史を学び、次にパラの価値を考え、最後に共生社会について理解を深めるという構成だ。

障害のある人をかわいそうと思っていた子供も、パラの選手を知れば「すごい」「格好いい」という羨望に変わります。固定観念を崩したところから、新しいアプローチが始まります。

たとえばパラの選手が学校に来るとしたら、どう迎えればいいかを問いかけます。競技場ですごい力を発揮した選手が、外では階段や狭い通路に行く手を阻まれます。選手の立場で身の回りのバリアを見つけだし、解決策をみんなで探ります。

パラ競技のルールを学んだうえで、公平についても考えます。クラスに車いすの子がいて、みんなで玉入れをするにはどうするのがいいか。答えは一つでありません。みんなで、車いすの子の意見にも耳を傾けます。

 結婚を機にカナダで暮らしていたが、東京パラの開催に合わせて、日本で教育に関わる仕事をすると決心した。
大学時代に交通事故に遭い、車いすを使うようになった

子供のときから先生になりたくて、カナダの小学校で教えていました。選手として出場した経験からパラの価値も知っています。これらをどう融合させるか、ずっと考えてきました。

私がけがをして一番嫌だったのは、車いすに乗っているだけで、自分は何も変わっているつもりはないのに、偏見とか差別の対象になることでした。

それはどこから来るのか考えていたら、人権教育啓発推進センター理事長だった故・横田洋三先生が「教育です」とずばっとおっしゃいました。親から子供、先生から生徒に教える以外に「無言の教育」もある、と。大人から刷り込まれて子供は育っていく。私がすべきことは教育だ! ビビッと来ました。

(高橋圭介)

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