2019年9月19日(木)

「59万人避難指示」妥当? 鹿児島市が大雨対応検証

2019/8/19 9:54
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59万人、全員避難指示の是非は――。7月に記録的な大雨に見舞われた鹿児島市が、市内全域に避難指示を出した対応の検証に乗り出した。広く迅速に危険を知らせ、身の安全を守るよう促す狙いだったが、危険な場所を通って避難所に向かう人がいたり、住民が詰めかけて一時避難所の定員を上回ったりしたケースも。専門家は「行政任せには限界がある」とし、一人一人が防災意識を高めるよう訴える。

鹿児島市の避難所に向かう市民(7月3日)=共同

鹿児島市の避難所に向かう市民(7月3日)=共同

「同時多発的に土砂災害が起きてもおかしくない」。市内全域に避難指示を出した7月3日午前、森博幸市長は緊急記者会見を開き、緊張した面持ちで最大限の警戒を呼び掛けた。

「積極対応」の背景には、市内各地で大きな被害が出た1993年8月豪雨の経験があった。鹿児島市は急傾斜地が多く、地盤は火山灰などが堆積したシラス台地で大雨に弱い。土砂災害警戒区域は3267カ所。川の氾濫も懸念された。

一方、市民には戸惑いが広がった。「全員が避難所に行くべきなのか」。市に問い合わせが相次ぐ。2カ所の避難所で一時定員を超え、避難所まで増水した川を渡ってきた人もいた。

静岡大防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)は「市内で一様に災害の危険があったとは考えにくい」と市の対応に首をかしげる。「風水害犠牲者の約半数は屋外での行動中だ。避難所へ行くことが最善とは限らない」と話す。

避難情報の発令対象区域は、国指針で「危険度に応じ、できるだけ絞り込むことが望ましい」とされ、鹿児島市の場合は9つに分けて対応している。今回の全域避難指示を「全域で既に土壌の水分量が多い状況で、雨脚が強まると予想されたため」とする市は、さらに細かく区域を分類できるかどうか、他の自治体も参考に検討する考えだ。

鹿児島大の地頭薗隆教授(砂防学)は「記録的な大雨では全域への避難指示もありうる。今回大災害に至らなかったのは偶然だ」と述べ、市の対応を妥当とみる。その上で「自分の住む地域の特性を普段から確認してほしい」と、住民の防災意識向上を求めている。〔共同〕

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