シンガポール首相、貿易戦争の長期化を懸念

2019/8/18 23:57
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【シンガポール=中野貴司】シンガポールのリー・シェンロン首相は18日、毎年恒例の国民向け演説で「米中の貿易摩擦は短期間には解決せず、シンガポール経済に悪影響を与える」と述べ、米中貿易戦争の長期化に懸念を示した。「まだ緊急経済対策を実施するほどではないが、さらに状況が悪化すればすぐに適切な対策をとる」とも表明した。

シンガポールのリー・シェンロン首相は18日も、米中貿易戦争の影響に懸念を示した(写真は5月撮影の別の演説)=ロイター

リー首相は「(制裁関税を避けるために)企業が中国からシンガポールに製造拠点を移転すると思うかもしれないが、そんなことは起こらない」と楽観論を戒めた。ベトナムなどより人件費の安い国や、メキシコなど米国市場に近い国に生産拠点が移る可能性が高いとして、高度な技術や労働力など自らの強みを磨いて対応する必要性を強調した。

シンガポールの2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で0.1%増とリーマン危機直後以来、10年ぶりの低成長に落ち込んでいる。

リー首相は演説で、現在62歳の定年年齢を65歳に、現在67歳の再雇用年齢の上限を70歳にそれぞれ引き上げる考えも明らかにした。国民の高齢化に対応するためで、22年から30年までに段階的に引き上げる。企業側に対応を求める一方で、従業員側にも「新しいことを学び、異なる責任を引き受ける心構えが必要だ」と生産性を高め続ける重要性を訴えた。

演説では、就学前の子ども向けの予算や大学生向けの奨学金の拡充も打ち出した。教育への資金の重点配分で国の競争力を高めるとともに、国民からの支持を高める狙いがある。リー首相は海面上昇をはじめとする気候変動問題も「シンガポールの生存に直結する問題だ」として、対応策の説明に長時間を割いた。

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