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お寺の「掲示板」が人気、短い言葉で心打つ

超覚寺は掲示板に毎週欠かさず標語を張り出しているという(広島市中区)

「阿弥陀様は既読スルーしません」「ボーッと生きてもいいんだよ」。寺の掲示板の「標語」がSNS(交流サイト)上で人気を集めている。仏教の深い教えから、思わず笑いがこぼれる独特の表現まで、僧侶らの個性がにじみ出る。寺の団体は標語コンテストなども企画し、仏教離れが進む若者の関心を呼び起こそうと力を入れている。

「ご先祖さまは、阿弥陀如来とのご縁を取り持つ私のエージェント」。広島市中区の「超覚寺」の玄関口にある掲示板に8月中旬、こんな標語が掲げられた。

住職の和田隆恩さん(52)は闇営業問題で話題になった吉本興業と所属タレントとの「エージェント契約」にヒントを得たという。墓参りの盆シーズンに「ご先祖様は阿弥陀様との間を取り持ってくれる存在だと伝えたい」と意図を語る。

和田さんは玄関口の掲示板を「お寺のショーウインドー」という。仏教を知らない通行人の目も引くよう、経典の難しい言葉はあえて使わない。広島原爆忌の前には英ロックバンド・クイーンの歌で「キノコ雲の影の下で」から始まる邦訳の歌詞を載せたり、映画や小説のセリフを引用したりするなどもしている。

ツイッターには短い言葉で仏教の教えや人生訓などを伝える、全国各地の寺の掲示板の画像が次々とアップされている。

人気の火付け役は公益財団法人「仏教伝道協会」(東京・港)が2018年に初めて企画した「輝け!お寺の掲示板大賞」。標語が書かれた寺の掲示板の写真にコメントなどを添えてツイッターかインスタグラムに投稿する。誰でも参加でき、協会職員らが標語のありがたさ、ユニークさ、インパクトなどを審査して賞を決める。

第1回には約700の標語が集まり、海外のSNSでも話題になった。当初は1回限りの企画だったが、反響が大きく今年も第2回を開催し、標語を募集している。同協会職員で僧侶の江田智昭さん(43)は「寺離れが進むなか、掲示板は寺と外部の人をつなぐ唯一の場所なのではと考えて企画した」と話す。最近は掲示板に教えを張り出す寺が減ってきたことも気掛かりだったという。

第1回の大賞は岐阜県郡上市の「願蓮寺」による「おまえも死ぬぞ 釈尊」。住職の石神真さん(49)は「SNSで話題になり驚いた」と振り返る。西日本豪雨など災害が続いた18年7月ごろ、いつどうなるか分からない命のかけがえのなさを伝えたい、と選んだ言葉だったという。石神さんは「仏の教えが端的な言葉で伝わり、見た人の生活で生きていればうれしい」と話す。

大正大の寺田喜朗教授(宗教社会学)は「宗祖の教えに忠実な内容を書いてほしい檀家もいるかもしれないが、人々の寺離れが進むなか、仏教そのものや寺の活動に興味を抱かせることができれば大きな意義がある」と指摘している。

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