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水も土もない栽培フィルム メビオールが新興国開拓

メビオール(神奈川県平塚市)の植物栽培システムは、水や養分だけを通す特殊なフィルムを使っている。大量の水を使ったり、管理負担の大きい水耕栽培の装置を導入したりしなくても、トマトなどの植物工場を設置できる。中国・上海近郊に設備を輸出しており、今後はアフリカなど水資源の供給に不安がある新興国を開拓する。

神奈川県平塚市にあるメビオールの実験室。植物を栽培しているが、通常の植物工場とちがい、水を循環させる設備はない。1つひとつの鉢に水がためられ、その上に敷かれた薄いフィルムの表面に、植物が根を広げている。

このフィルムは「アイメック」。創業者の森有一会長は「フィルムが土の代わりを果たす。砂漠でも植物を栽培できる」と説明する。アイメックの上に栽培したい野菜の芽を置けば、植物がフィルムの下にある水分や養分を直接吸い取る仕組みだ。

フィルムにはナノ(10億分の1)メートルサイズの穴が空いている。病原菌など有害なものを通さないため、水替えなどのメンテナンス作業は必要ない。植物が水分を取りにくい栽培環境を保つことにより、糖分やアミノ酸などの栄養価を高める効果も期待できるという。

森氏は東レの出身だ。長い間、高分子の研究に従事していたなかでメビオールを設立。2005年にアイメックの特許を登録した。さらに提携などで海外開拓の道筋をつけてきた。「アイメックは水が豊富な日本よりも、海外に必要な技術だ」。森氏はこう強調している。

14年からアラブ首長国連邦(UAE)に5000平方メートル規模のグリーンハウスを展開し、そこで生産したトマトを現地の高級レストランなどに出荷している。15年には上海近郊などでも導入された。水質などに不安がある現地でも、安心して食べられる野菜を作る技術として売り込んでいるという。

ロシア企業と17年に提携し、現地のトマト工場でアイメックの採用を目指している。ブラジルでは日本企業の現地工場に併設する野菜工場でアイメックの採用が決まっており、19年内のフィルム輸出を目指す。

メビオールは知名度に劣る中小企業だが、アイメックという商品では国連がまとめている環境技術のデータベースに登録されるなどグローバルな認知度が少しずつ高まっている。

森氏はUAEのハウスを事例に「世界の干ばつ地域や土地がやせたアフリカなどで農業を定着させ、貧困からの脱却を支援したい」と語る。

野菜を栽培したフィルムは年に1度交換する必要がある。導入地域が広がればフィルム交換の需要が生まれることから、交換用フィルムのビジネス拡大にもつながると期待している。

会社概要 1995年に東レ出身の森有一氏が創業した。直近の売上高は約3億円。研究開発に特化し、自社工場は持たない。アイメックの製造は国内企業に委託している。

(横浜支局 牛山知也)

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