日韓、関係改善なお遠く 文氏「日本協力なら手握る」

日韓対立
2019/8/15 19:30
保存
共有
印刷
その他

文在寅大統領(右)は「光復節」演説で日本が重視する元徴用工問題への有効な対応策を示したわけではなく、関係改善の道はなお遠い(写真は6月のG20大阪サミット)=聯合・共同

文在寅大統領(右)は「光復節」演説で日本が重視する元徴用工問題への有効な対応策を示したわけではなく、関係改善の道はなお遠い(写真は6月のG20大阪サミット)=聯合・共同

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日の演説で、輸出管理の厳格化や韓国人元徴用工訴訟に端を発した日韓対立の沈静化に期待をにじませた。従来の日本批判のトーンを抑制し「日本が対話と協力の道に出れば喜んで手を握る」と述べた。だが日本が重視する元徴用工問題への有効な対応策を示したわけではなく、関係改善の道はなお遠い。

【関連記事】日韓、対立で失うもの 漁夫の利は中朝に

文氏は日本の植民地支配からの解放を記念する光復節の式典で演説した。日本が韓国を輸出管理の優遇対象国から外す閣議決定をした2日には「日本の居直りを決して座視しない」と対抗姿勢を強めていた。元韓国政府高官は今回の演説について「有効な対抗策はないが日本への妥協姿勢を見せるわけにもいかず、ひとまず沈静化をはかる考えだ」と分析する。

文氏は「日本とともに植民地支配の被害者の苦痛を癒やそうとし、歴史をかがみとして固く手を取り合おうという立場を堅持してきた」とも語った。だが日本側が対立の根底にあるとみる元徴用工訴訟や、従軍慰安婦問題に関する日韓合意など歴史を巡る具体的課題には触れなかった。

元徴用工問題を巡っては韓国大法院(最高裁)が昨年、日本企業に元徴用工への賠償を命じる判決を下した。日本政府は差し押さえられた日本企業の資産が売却されて原告に支払われれば、他国への戦後補償に影響しかねないと懸念する。

日本政府は1965年の日韓請求権協定によって、元徴用工ら個人の請求権も含めたすべての請求権問題が解決済みだとの立場だ。韓国政府は判決以降、同協定に基づく2国間協議や仲裁委員会の設置に応じてこなかった。日本外務省幹部は「対話のボールは向こうにある」とあくまで韓国側に解決策を提示するよう求めていく構えだ。

韓国政府はこれまでに日韓の企業が自発的に資金を出し原告と和解する案を示したが、日本政府は受け入れない。日本側が資金を出せば「請求権問題は解決済み」との立場と相いれず、戦後秩序の根幹を崩すからだ。

文政権は2020年4月に総選挙を控え、日本に屈しない姿勢を示して支持率を維持したい思惑もあり、妥協点を見いだしにくい。お互いに一歩も譲れぬ状態に陥っており、対立の構図はしばらく続きそうだ。

(ソウル=恩地洋介、甲原潤之介)

【関連記事】
韓国大統領、南北融和で日本を克服 45年に統一目指す

韓国の「優遇対象国」除外を閣議決定 輸出管理厳格化
韓国への措置「禁輸ではない」 経産相の会見要旨
韓国向け半導体材料、一部に輸出許可 厳格化後で初
対韓輸出、一部許可も安定輸出は見通せず
対韓厳格化3品目、企業の負担増す 輸出一部再開

韓国、日本を輸出管理の優遇対象から除外 9月中に
世耕経産相「根拠が全く不明」 韓国の優遇除外に反論
日韓、輸出管理で応酬 優遇国から除外で摩擦一段と
韓国、100品目で脱日本依存目標に 支援に6800億円
韓国、石炭灰の放射性調査を強化 日本からの輸入分
韓国、半導体専門家を科技相に 輸出厳格化対策か
[FT]韓国、日本製品不買運動で怒りあらわに
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]