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後藤高志氏「フェアに戦いノーサイド、経営でも」
ラグビーと私(2)西武ホールディングス社長

ラグビーW杯
2019/8/16 5:30
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大学時代は快速ウイングだった西武ホールディングスの後藤高志社長。ラグビーから学んだフェアプレーが経営でも生きている。

後藤高志氏

後藤高志氏

――ラグビーとのつながりは。

「東大ラグビー部で本格的にプレーを始めた。もともと、中・高とラグビーが盛んな成蹊学園出身で親しみがあった。足が比較的速かったのでポジションは14番のウイングだった。チームはあまり強くはなかったが、練習はしんどくも楽しかった。とにかく良い試合がしたい、という思いで夢中になって打ち込んだ」

「2年生のとき、学生運動の影響で1年間授業がなかった。その分、ほとんど毎日、練習や試合に費やした。ラグビーの傍ら、自然科学の本や小説なども読みあさった。自分なりに自己啓発しながら、青春を謳歌した」

「東大の伝統的なプレースタイルに、ストレートダッシュとロータックルがある。まっすぐ走って相手に低いタックルで突き刺さる。体格の大きい相手にぶつかるのは正直、怖かったが、真正面から正々堂々と戦うことを口酸っぱくいわれてきた。フェアプレーの精神は今も座右の銘だ」

――自身で印象に残っているプレーは。

「2つある。1つは2年生で初めて1軍の試合に出場し、名古屋大を相手に2トライを決めたことだ。バックスで奇麗にパスが回り、気持ち良く右隅にトライできた。トライのシーンは写真付きで全国紙の地域版に掲載され、非常にうれしかったことを覚えている」

「もう1つは社会人になってからだ。第一勧業銀行のラグビー部で初めて外国人チームと戦った際、体の大きな外国人選手の膝の下に低く突き刺さるタックルが決まった。体格で上回る相手を倒せて爽快な気分だった」

名古屋大との定期戦で2トライを決めた(西武ホールディングス提供)

名古屋大との定期戦で2トライを決めた(西武ホールディングス提供)

――ラグビーの魅力は。

「まず試合がエキサイティングだ。攻守の切り替えが早く、チャンスがピンチ、ピンチがチャンスになり、展開のバリエーションが豊富だ。白熱した試合をしても、ノーサイドで互いのプレーをたたえ合う文化もある。観客も紳士・淑女で常にフェアに観戦し、他国のチームにも温かい声援を送る人が多いと感じる」

――ラグビーが会社で役立ったことは。

「社内や講演会でもよく話すが、トライを決める選手の裏に、相手に突っ込み、もみくちゃになりながらボールを獲得してくれる選手がいる。そういったプレーに本当の価値がある。仕事も常に華やかなことばかりではない。一隅を照らし、それを尊重するカルチャーが大切だと思っている」

「私自身は第一勧銀に入行後、上司と衝突することもあったが、常にフェアに正々堂々と戦うことを意識してきた。経営でもその思いは変わらない。2013年、西武ホールディングスの当時の筆頭株主だった米投資会社のサーベラスが再上場手続きの過程で、当社にTOB(株式公開買い付け)を実施した。我々はTOBに反対したが、フェアに戦うことを決めた」

「一度上場を廃止した企業として、サーベラスの提案よりもフェアで、各法律と照らしても一点の曇りもない上場を果たすという信念があった。サーベラス側にもそう伝えた。戦いの決着後には握手をし、この話は『ノーサイド』になった。翌年、サーベラスの協力を得て再上場を果たせた」

「17年、サーベラスが当社の株式をすべて売却した際も『サーベラス社とは一時緊張感が高まった場面もあったが、上場も実現し、約11年半にわたるサポートに感謝している』というコメントを出した。フェアな上場に向けて協力してくれたことなどに感謝している」

――ワールドカップ(W杯)が日本で開催される。

「アジアで初めてとなるW杯が日本で開かれることは大きな意義がある。日本代表には前回大会のように、体格の大きな相手にも果敢にタックルをし、倒すファイトを期待したい。守る時間が長くなると思うが、しのいでワンチャンスをモノにしてほしい」

「数多くの外国人が訪れる。物理的にも精神的にもハードルがなく、日本をエンジョイできる環境を企業もつくっていかなければならない。グループのプリンスホテルでは世界からの観客や選手を受け入れることになる。気持ちよく滞在していただけるよう、ホスピタリティーを持ってサービスを提供したい」

(聞き手は企業報道部 長尾里穂)

 ごとう・たかし 1972年(昭47年)東大経卒、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。04年取締役副頭取。05年西武鉄道社長、06年から現職。東京都出身。
ラグビーワールドカップ2019

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