トルドー首相、前司法相に圧力 カナダ倫理委員会
【ニューヨーク=高橋そら】カナダの連邦倫理委員会は14日、同国の大手建設会社への司法介入疑惑を巡り、トルドー首相が同社の利益を「不適切に促進しようとした」とする報告書を公表した。トルドー氏が当時の法相に対して、SNCラバラン・グループを刑事訴追しないよう圧力をかけていたと事実上、結論付けた。複数のカナダメディアが報じた。

連邦倫理委員会は14日の報告書のなかで「トルドー氏の権限は(当時の法相の)ウィルソンレイボールド氏の権限を弱体化し、信用を傷付けるために使われた」と指摘した。
報告書を受けトルドー氏は「同意できない点はあるが報告を受け入れ、全ての責任を負う」と表明した。「カナダの雇用を守るために立ち向かったことは謝罪できない」とも述べた。野党・保守党はトルドー氏の責任を追及する姿勢を示している。10月の総選挙で再選を目指すトルドー氏にとっては逆風となる可能性が高い。
現地メディアによると、今回の報告書でトルドー氏への罰金や罰則は発生しない。
SNCラバランは2011年に崩壊したリビアのカダフィ政権下で、契約獲得のために現地当局者に賄賂を支払ったとして刑事訴追されていた。トルドー氏とその側近らは同社の刑事訴追を避けるよう、18年当時に法相だったウィルソンレイボールド氏に圧力をかけた疑いが持たれていた。同氏は要求を拒否した後に法相から退役軍人相へと異動させられたと主張し、事件発覚後に辞任した。トルドー氏は司法への意図的な介入を繰り返し否定しており、両者の言い分は食い違っていた。