3世代で楽しむ温泉 東京発で気軽な旅館・ホテルは…

親子で、3世代で温泉旅を楽しみたいと思っても、ただ温泉につかるだけでは面白くない。しかも、世代によってやりたいことは分かれるもの。東京から気軽に行ける温泉地で、そんな悩みを解決する全世代が楽しめる3施設をピックアップした。
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まずは東京から約1時間で行ける「ヒルトン小田原リゾート&スパ」(神奈川県小田原市)。東京から新幹線で約35分の小田原駅、または在来線の根府川駅から無料シャトルバスに乗って高台へ(8月25日までは根府川駅発のみ)。全163室から相模湾を一望できるホテルだ。

5万3000坪(約17万5000平方メートル)もの敷地には、プールやサウナなどもあるバーデゾーン、天然温泉大浴場、屋内外テニスコート、18ホールのパターゴルフ場などのスポーツ施設、スパ、岩盤浴にホテル直営レストラン、さらにボウリング場、キッズコーナーとより取りみどりの施設がそろう。例えば、子どもたちがキッズコーナーで遊んでいる間にママは優雅にエステをしたり、家族でボウリング勝負をしたり、おじいちゃんにゴルフのパッティングを指導してもらったりと、どの世代も自由自在に楽しめる。


メインダイニングの「ブラッセリー フローラ」は選択の幅が広いビュッフェスタイルを採用している。ロビー階の「ザ・ロビーラウンジ」では、昼はビュッフェ、夜はアラカルトで落ち着いた雰囲気だ。平日の月金と土日祝日には季節ごとに趣向を凝らしたデザートビュッフェも登場。秋にはハロウィーンなど四季のイベントも用意している。泡が出るプールや噴水プールなどバーデゾーンは特筆の充実ぶり。海の見える大浴場で温泉につかり、ゆっくりと過ごすこともできる。1回では遊び尽くせない、充実した施設を誇る温泉リゾートホテルである。

東京からひかりなら約40分で着く熱海駅から無料シャトルバスで約20分と、こちらも足回りのよい「星野リゾート リゾナーレ熱海」(静岡県熱海市)。ベビー世代から遊べる施設やプールが充実するとともに、大人同士でくつろげるスペースもある。熱海の海が目の前に広がる標高170メートルの高台にあり、花火大会鑑賞にも絶好のリゾートだ。温泉大浴場はヒバの木と伊豆石の2つの内風呂のほか、海一望でちょっと空と海とつながっているように見えるユニークな半露天風呂があって、ゆっくりできる。

樹齢300年を超えるクスノキのツリーハウスや、地上9メートルの樹上アスレチックで子どもから大人まで楽しめるのが「森の空中基地 くすくす」だ。お茶も楽しめるツリーハウスは秋にはハロウィーンイベントの舞台に。木と木の間を様々な方法で渡っていく樹上アスレチックは、大人も挑戦しがいがある。

ゆったりとした客室は全81室がオーシャンビューとなっている。2019年4月にできたテラスリビングスイートは158平方メートルで定員は6人。3世代や仲良し2家族、友人同士など幅広く対応できる。絶景のテラスで夜は線香花火を楽しめる。食事は驚くほどの品数で、朝から海鮮ラーメンも提供されるレストランのほかに、熱海の花火大会をモチーフにした内装で旬の会席料理をディナーに提供する和食ダイニングもある。

一番驚かされるのが、ホテル最上階に白砂を敷き詰めたビーチをつくったソラノビーチBooks&Cafeだ。アルコールやスナックの提供もあり、12歳以下の子どもと大人でスペースや時間帯を区切ってもいる。熱海で温泉のほかに、ユニークな施設で遊び方のバリエーションが広いのが特徴といえる。

東京から乗り換えなしの「踊り子号」利用で約1時間45分。風光明媚(めいび)な温泉地伊東には18年12月、3世代家族におすすめという8人定員の客室を新設した旅館「星野リゾート 界 伊東」(静岡県伊東市)がある。8人定員部屋の広さは約100平方メートルで、畳敷きのリビングをはさんで4人ずつのベッドルームが2つある。ゆったりしたソファが置かれたリビングには、つるし飾りの下に遊具を置いたコーナーもあって、子どもたちが遊べるようになっている。


温泉づくしの花暦の宿をコンセプトにしていて、4本の源泉の湯を使う大浴場のほか、庭園を眺めてゆったり楽しめる足湯と屋外に20メートルの源泉プールも備えた。露天風呂付きの部屋もある。屋外の源泉プールは夏以外も楽しめ、レンタル水着や小さな子どもが楽しめるように専用のライフジャケットを用意している。

食事はキンメダイなど伊東の海の幸を生かした和会席。子どもには食材の頭文字をとった「まごわやさしい」というかわいい和食膳を出してもらうこともできる。大人も子どもも楽しめるアクティビティー「ご当地楽」は地域の伝統や文化に触れることができる。温暖な気候の伊東はツバキが市の花木。ここでは、伊豆大島の伝統的な椿油(つばきあぶら)づくりを体験することができる。

小田原、熱海、伊東と気軽に行ける伝統の温泉地。世代それぞれで楽しむ温泉旅はどうだろう。

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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