2019年9月18日(水)

ピアノ練習、AIが教師 中国市場拡大[36Kr]

36Kr
アジアBiz
コラム(テクノロジー)
2019/8/15 2:00
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音楽、とくに器楽を学ぶ子供たちにとって、毎日の地道な練習は欠かせない。彼らの日々の練習に寄り添い、モチベーションを上げる手助けをしたり、より効果的な練習方法を指導したりする「トレーニングパートナー」を提供するビジネスが、中国の投資機関の間で注目されている。

昨年は「VIP陪練(PEILIAN.COM)」を運営する「妙克信息科技(Miaoke Information Science and Technology)」と、「快陪練(KUAIPEILIAN)」を運営する「未来橙網絡科技(Future Orange Network Technology)」がそれぞれ2度の資金調達を行った。出資者は老虎基金(TIGER FUND)、テンセント、高榕資本(GAORONG CAPITAL)、IDGなどそうそうたるメンバーだ。

「楽意音楽」は再生すると楽譜上に演奏の過程が表示される(縁音科技提供)

「楽意音楽」は再生すると楽譜上に演奏の過程が表示される(縁音科技提供)

ある機関の試算によると、中国の音楽教育市場は2022年までに4000億元(約6兆円)以上の規模に達する。中でも、オンライン指導への需要は1000億元(約1兆5000億円)に迫ると予想されている。現在、そのビジネスモデルの多くは、提携する音楽教師がトレーニングパートナーを務めるものだ。単価は平均100元(約1500円)前後だが、楽器の練習は頻繁に行われるため、年間では数千元(約数万~13万円)単位の利用につながる。継続利用すれば一定の支出が必要なことから、こうしたサービスは主に高所得者層を対象にしたものだ。

一方で、AIがトレーニングパートナーを務めるサービスも登場している。「縁音科技(YuanYin Technology)」が提供する「楽意音楽(01yinyue.com)」は、アプリが楽器練習に寄り添い、音声を視覚化するなどの工夫を凝らして、より音楽を学びやすくしている。

アプリ内にはプロの演奏による音源が2万曲ある(同)

アプリ内にはプロの演奏による音源が2万曲ある(同)

ピアノは一つのキーが一つの音を出す構造で、運指の正誤が明確なため、とくにオンライン指導や可視化教材に向いている。楽意音楽はプロの演奏による音源が2万曲収録してあり、これらを再生すると、画面上の楽譜にリアルタイムで演奏の過程が表示される。テンポ、強さ、ペダルテクニック、運指なども同時に楽譜上に表示される。また、ユーザーの演奏はスマートフォンやタブレットのマイクを通じて認識され、こちらもリアルタイムでミスを指摘し、評価が行われる。さらに、ユーザーの練習データを基に新たな練習プランを提示してくれる。

アプリは、最初の2週間は無料で試用できる。その後は月額98元(約1500円)の課金制となるが、1日15分の無料サービスがつく。現段階で特に宣伝は行っていないが、すでに登録会員数は2万人にのぼっており、週1000人のペースで増えているという。DAU(デイリーアクティブユーザー)は3000人で、平均利用時間は1日50分だ。

アプリ「楽意音楽」のロゴ(同)

アプリ「楽意音楽」のロゴ(同)

個人利用以外に法人利用も可能で、すでに3社と提携している。こちらも月1000人のペースで有料会員を増やしている。

縁音科技の創業者の2人は、大学で理数系を専攻しながらクラシックの素養もあるユニークな経歴の持ち主だ。高巍氏は電子工学を専攻、オーケストラに10年間所属した経験がある。米シスコシステムズ本社での勤務をはじめ、複数の国際的大手企業で15年間にわたりマネジメントに従事してきた。顧羽鵬氏は複数の大学で応用数学、人工知能、音楽を専攻してきた一方で、本格的にピアノを学んでおり、世界的ピアニストのアーノルド・コーエン氏に師事した経験も持つ。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5230882)

 日本経済新聞社は、中国をはじめアジアの新興企業の情報に強みをもつスタートアップ情報サイト「36Kr」(北京市)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップやテクノロジーに関する日本語の記事を、日経電子版に週2回掲載します。
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