2019年9月19日(木)

勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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タイ代表・西野監督への期待 直接来た依頼に意義

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2019/8/15 5:30
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サッカーの西野朗・前日本代表監督がこのほど、タイに渡って代表チームの指揮を執ることになった。アジア各国で日本のコーチや審判が指導や養成、強化の制度設計に携わることは今や珍しいことではない。それでも今回の西野さんの挑戦には特別に意義があると感じている。

タイ代表監督に就任し、ユニホームを手にポーズをとる西野朗氏。左はタイ・サッカー協会のソムヨット会長(7月19日)=共同

タイ代表監督に就任し、ユニホームを手にポーズをとる西野朗氏。左はタイ・サッカー協会のソムヨット会長(7月19日)=共同

今回のチャレンジは、タイ・サッカー協会からのオファーが西野さんに直接来たところに値打ちがあると思う。日本のサッカー関係者がアジアで仕事をする例はフル代表の監督、アンダーエージの監督、技術委員会のメンバー、審判のインストラクターなど多岐にわたるけれど、大半は相手国の協会から派遣要請が来て、日本サッカー協会がアジア貢献活動としてそれに応じる形だ。誰を送るかの人選は日本協会が主導するケースが多い。

西野さんの場合は違う。タイ協会からダイレクトに西野さんに依頼があり、西野さんも実際にタイに足を運び、向こうの会長とも懇談し、条件等もいろいろ詰めて、最終的に西野さんが決断して決まった話である。掛け値無しというか、商業ベースというか、プロの監督として、きちんと交渉した上で契約に至ったわけである。

タイ協会が、昨夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本の戦いと西野さんの仕事ぶりを見て、オファーを出したことは想像に難くない。ベトナムでフル代表とU-22(22歳以下)代表を率いた三浦俊也氏(現ホーチミン・シティーFC監督)のような先駆けがあって、日本のコーチたちが日本の指導の良さを広めてくれたのも大きいのだろう。日本サッカーの成果に対するリスペクトがあって、日本のようになりたいと思うから今回のオファーがあり、それだけのオファーが出せるくらい、タイとタイサッカーの経済力もついてきているのだろう。

日本サッカー、強化30年の生き証人

西野さんはタイで23歳以下の監督も務める。兼任監督を念頭に置けば、日本代表でユース(20歳以下)、五輪(23歳以下)、フル代表、そして技術委員長も経験してきた西野さんのキャリアは、タイ協会から見ても相当に魅力的に映ったことだろう。ある意味、この30年近くの間に急成長を遂げた日本サッカーの強化面での生き証人のような人だから。

それに加えて、西野さんにはG大阪などで積み上げたJリーグ最多勝監督(270勝)の実績もある。これまで外国人監督に代表チームを任せる場合、欧州から呼ぶことが専らだったタイが、ここにきて路線変更したのは、西野さんがこれまでに積み上げてきた知見を自分たちのレベルアップに大いに生かしたいと考えてのことだろう。

西野氏は現場好き。タイ代表監督となり、本人もやる気満々でいることだろう=共同

西野氏は現場好き。タイ代表監督となり、本人もやる気満々でいることだろう=共同

聞くところによると、西野さんは日本人スタッフを大勢引き連れていくのではなく、現地のスタッフと仕事をする気でいるらしい。これも西野さんらしい。というのも、西野さんはG大阪でもフィジカルコーチやGKコーチに外国人コーチを置くことが多かったからだ。親分・子分みたいな情緒的な関係より、国籍に関係なく、機能主義的にスタッフを編成するのが西野流。そういう姿勢はタイの人にも分かりやすいのではないだろうか。

今回のタイでの仕事を、私が心から喜んでいるのは、西野さんの「現場好き」を知っているからでもある。世間的にはダンディーな西野さんと思われているが、実はスーツが嫌い、机に座っているのも嫌い、何より練習場で芝生の匂いを嗅いでいるのが好き、という人なのだ。ネクタイも苦手で、記者会見が終わるとすぐに取ってしまう。スーツにネクタイに革靴より、ジャージーにサッカーシューズにキャップをかぶっている方が性に合う人なのだ。

ロシア大会後に代表監督の職を辞した後、英気を養っていたが、監督の仕事に戻りたくてうずうずしていた。そんな西野さんにもたらされた新天地での仕事。本人もやる気満々でいることだろう。

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