経済悪化で指導者批判も (イランと米国~不信の構図6)

2019/8/13 10:00
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イランの人口の約7割は1979年の革命後に生まれた=AP

イランの人口の約7割は1979年の革命後に生まれた=AP

イランのエリート層にはすでに、イスラム教シーア派法学者が指導する革命後の体制を否定するような「改革派」はおらず、「保守派」ばかりだとみられる。保守派は対米敵視の「強硬派」と対外協調姿勢の「穏健派」に分かれる。イランの核開発を巡り、米国が圧力を強め続ければ、強硬派と穏健派は一丸となって体制を守ろうとする。

イランは国会議員や大統領を直接投票で選ぶが、候補になるには護憲評議会という機関に適格と認められる必要がある。同評議会は第2代の最高指導者ハメネイ師を頂点とする保守強硬派が支配している。一般市民は最高指導者に直属する軍事組織、革命防衛隊が傘下に置く民兵組織「バシジ」の介入を受ける。

イスラム指導体制は揺るがないようだが、内情は必ずしも盤石でない。

人口約8千万人の約7割は1979年の革命後に生まれた。幼いころから現体制になじむが、インターネットや衛星放送を通じ、米国の豊かなライフスタイルに関する情報は流れ込む。革命で主力となったような若い世代ほど外国の情報には敏感だ。イラン政府はネットや衛星放送の受信を規制するが、情報の流入を完全には止められない。

2017年12月~18年1月にはイラン各地で物価高に抗議する市民のデモが起き、ハメネイ師の退任を求める声も聞かれた。米国の制裁で通貨リアルの対ドル相場は大きく下がり、必需品の輸入価格を引き上げる。イランは経済悪化の責任を米国に負わせるが、市民の批判の矛先が政府に転じた場合、難しい対応を迫られそうだ。(おわり)

押野真也、久門武史、佐野彰洋が担当しました。

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