2019年9月22日(日)

イラク崩壊 漁夫の利 シーア派実権、地中海へ
イランと米国~不信の構図(5)

2019/8/13 10:00
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米軍は2003年3月、イラク攻撃に踏み切り、フセイン大統領の政権はたちまち崩壊した。1980年代のイラン・イラク戦争で米国の支援を受けたイラクは軍事大国となり、米国に盾突くようになっていた。フセイン政権崩壊で「漁夫の利」を得たのがイランだ。

イラクを占領した米国は民主的な選挙を実施し、多数派のイスラム教シーア派が実権を握った。同派は、イランに近いとの理由でフセイン政権に遠ざけられていたが、復権を果たした。米国がフセイン政権を排除したことでイランは友好国のイラク、シリアを通じ、地続きで地中海に達するルートを確保した。貿易、軍事で重要な進展だといえる。

イラク軍が敗れ、中東でイランの軍事力は際立つようになった。

19年版のミリタリー・バランスによると、イランの総兵力は約52万人でアラブ各国を上回る。米国の経済制裁で戦闘機などの更新は遅れるが、射程2000キロメートルでイスラエルと欧州の一部が射程内の中距離弾道ミサイルを開発した。これはイランの核開発を巡る米国の疑念を深めている。弾道ミサイルは通常、核弾頭を装着することで戦略上の価値を高めるからだ。

イラクという防波堤を失い、イランの軍事的な脅威を特に強く感じるようになった国がサウジアラビアとイスラエルだ。

サウジはイスラム教スンニ派の大国であり、イスラエルはイランの仮想敵だ。サウジとイスラエルが後ろ盾にしてきた米国はエネルギー自給率が高まり、中東への関心が薄らいだ。国交のないサウジとイスラエルが水面下で手を組んで、共にイランの脅威を叫び、トランプ米大統領に中東への関与を続けさせようとしているようにみえる。

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