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ラグビー日本、W杯へ視界良好 PNCは収穫大

ラグビーW杯
2019/8/11 22:30
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ラグビー日本代表はワールドカップ(W杯)日本大会前の最後の公式戦、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)を3戦全勝の優勝で終えた。9月開幕のW杯に向け、視界は良好。好調過ぎる結果が、逆に心配になるほどである。

フィジー戦でパスコースを探す茂野

フィジー戦でパスコースを探す茂野

「前の優勝より自分たちで勝ち取った感じ。強くなった実感がある」。前回、単独優勝した2011年大会を知るフッカー堀江翔太(パナソニック)は胸を張る。当時は難敵のフィジー戦で相手に退場者が出るなど運に恵まれた。今回は相手と四つに組んで制した観がある。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチも「誇らしいパフォーマンスだった」と喜ぶ。

中身も濃かった。特に戦い方の幅の広さでは、今の日本は過去最高だろう。初戦のフィジーには従来の形であるパス主体の戦いを選択。ボールを保持して相手の速攻を防ぎつつ、テンポの速い攻めで5トライを挙げた。続くトンガ戦では一転、ジョセフ体制で磨いたキック戦術を採用。重い相手を走らせて勝った。真逆の戦術にはあぶはち取らずの恐れもあるが、「二刀流」はさまになってきた。攻撃を仕切るトニー・ブラウンコーチは「W杯でも両方のプランをやる」と宣言する。

試合中の柔軟性も増している。最後の米国戦は初戦の形に戻したが、密集戦で苦戦して攻撃が停滞すると選手が戦術を変更。キックを増やし、流れを引き寄せた。司令塔のSO田村優(キヤノン)は「以前より試合の流れを読んでその時に適したプレーをしている」。

W杯のメンバー登録前の最後となる大会では、新戦力の台頭もあった。SH茂野海人(トヨタ自動車)は課題とされたゲームメークが向上、出色の出来だった。プロップのバル・アサエリ愛(パナソニック)は先発でも十分に通用した。FB山中亮平(神戸製鋼)も持ち味を発揮。チームに活力を与えた。

プロップのバル(中央右)は先発でも十分に通用した

プロップのバル(中央右)は先発でも十分に通用した

本番まで50日を切った中、貴重な教訓も得た。「課題はディシプリン(規律)」とリーチ・マイケル主将(東芝)。他にも多くの選手が反則の多さを指摘する。一例がスクラム。主審の主観によるところが大きかったが、3戦とも複数回の反則を取られた。積み上げてきた緻密な組み方が結果に反映されないケースがあるのはもったいない。

密集戦も同様。トンガ戦、米国戦では倒れながらボールに絡む反則気味のプレーでボールの再確保を遅らされた。密集での素早い球出しは日本の生命線。W杯の相手もグレーゾーンのプレーで絡んでくるだろう。「レフェリーへの対応はやらないといけない」と堀江。W杯の1次リーグ4試合の主審は発表済み。傾向に合わせた対策は急務となる。

好結果ゆえの心配もある。PNCでは体調管理に成功。選手の動きがかなり良かっただけに、9月からの本番で再びピークに持っていくには、緻密な計画が必要になりそうだ。もう一つの不安は心理面。11年のW杯、日本は直前のPNCで勝ったトンガにも敗れ、0勝に終わった。当時を知る堀江は「W杯になると相手がガラッと変わることを僕らは知っている」と気を引き締める。リーチ主将も「変な自信を持つと11年みたいになる可能性がある」。警鐘を鳴らす声がこれだけ選手から出るなら、心の隙は大丈夫だろう。(谷口誠)

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