波風立てるのが仕事 LINE社外取締役の流儀
ガバナンス最前線(3)
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「新たなストックオプション(新株予約権)を取り入れるのはいい。でも、この生煮えのアイデアじゃダメだ」。
2018年冬、LINEの取締役会に出沢剛社長ら執行側が出してきた新型ストックオプション導入の提案を、社外取締役の国広正(63)はあっけなく却下した。従来と異なり、全ての役職員に等しく機会を提供し、成果に応じて配分されるストックオプションだ。この時、執行側は「早くストックオプションを導入したい」という空気にあふれていた。焦るLINE執行側に待ったをかけたのが、「KY(空気読まない)社外役員」を自任する国広ら、3人の社外取締役だった。
【前回記事】物言う日本生命OB 長期投資のDNA
拙速な提案、はねのける
「ライバルたちは次々と高額報酬をアピールし、技術者の獲得に走っている。我々も早く魅力的な報酬を準備しなければ」。LINEの執行部が焦ったのもムリはない。同社も優秀な若手技術者に年収1000万~2000万円を与え、ベンチャー企業としては厚遇しているが、争奪戦は国内外の有力企業が相手だ。早急に新型ストックオプションを導入することを発表し、3月末の株主総会で導入してしまいたいと、前のめりで...

企業がふらつかずに前進できるよう、推進力にもブレーキにもなる組織づくりはコーポレートガバナンス(企業統治)と呼ばれる。ここ5年ほどで改革が進み、形だけでなくどう魂を入れるかの段階になってきた。最前線を走る企業や人材を追った。
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