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井上尚、「現役最強」ボクサーも視野 米でも高評価
スポーツライター 杉浦大介

2019/8/12 5:30
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11月7日の対戦が決まった井上尚弥(左)とノニト・ドネア(5月、英国グラスゴー)

11月7日の対戦が決まった井上尚弥(左)とノニト・ドネア(5月、英国グラスゴー)

「井上の圧勝だよ。ノニトの身体が心配になる」

世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)の次戦が11月7日、埼玉でノニト・ドネア(フィリピン)を相手に行われると発表された直後のこと――。モハメド・アリの時代からボクシングを取材しているあるベテランライターが、筆者にこう述べた。日本人メディアへの気遣いなどとは思えず、井上の評価が米国でも高まっていることを示す一例といっていいだろう。

井上対ドネアはワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級決勝戦という体裁だが、このWBSSというトーナメントの知名度は米国内で高いとはいえない。それでも、あくまでもボクシングマニア限定とはいえ、井上の強さと名声は米国のファンの間に徐々に浸透し始めている。

すでに世界のトップ4の評価

1922年に創刊された老舗の「リングマガジン」は、今年に入って2度、井上を表紙に起用した(注・2度目は漫画家による似顔絵)。全階級を通じて最強の選手を選定する「パウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキング」でも、最近ではこの日本のたぐいまれなボクサーに対する評価は高まる一方だ。

「現時点で井上こそが世界最高のファイターかもしれない。もちろん、彼は層が厚いとはいえないバンタム級の選手で、対戦相手の選択肢も限られるから、判断するのは難しい。ただ、私が考えるに、現役最高の選手はワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、テレンス・クロフォード(米国)、井上のうちのいずれかだろう」

今年5月、ジュリアン・ウィリアムス(米国)をWBA、IBF世界スーパーウェルター級王座に導き、トレーナーとしての評判を高めているスティーブン・エドワーズ氏はそう述べていた。実際にこのエドワーズ氏がコラムを連載するBoxingscene.comのPFPランキングでは、井上はクロフォードに次いで2位。リングマガジン、ESPN.comの同ランキングでも、ロマチェンコ、クロフォード、サウル・アルバレス(メキシコ)といったスターたちに次ぐ4位に入っている。

これらの主要媒体が、そろって井上を少なくとも世界でトップ4に入る実力者だと認めている。同列に並べられている選手はすべて米国内に本拠を置いて戦っていることを考えれば、米国では1戦のみで、まだなじみの薄い井上への評価の高さは出色だといっていい。

これまでに獲得した5本の世界チャンピオンベルトを披露する井上尚弥=共同

これまでに獲得した5本の世界チャンピオンベルトを披露する井上尚弥=共同

この順位は今後さらに上がる可能性がある。ロマチェンコはすでに31歳と年齢的には峠を越え、クロフォードもしばらくはマッチメークに苦しむことが予想される。アルバレスは禁止薬物使用で出場停止処分を受けた経験があり、PFPのベストに推すにはためらいがあるという関係者は少なくない。そんな状況で、井上が破壊的な強さを見せつければ、「PFP最強として世界に認められる」という日本人史上初の金字塔も夢ではない。

米国開催の可能性もあったドネア戦が結局日本開催になったことは、米国内での評価、知名度アップという点ではやはりプラスとはいえない。それでも、この試合のハイライトシーンは瞬く間に海を越え、繰り返し流されるはずだ。とすれば、好内容で勝つことの意味は大きい。いや、これから先は一戦ごとの勝ち方がこれまで以上に重要になってくる。日本が生んだ"モンスター"は、当面の対戦相手だけではなく、試合の中身を通じて、世界最高級の強豪たちとしのぎを削る段階に入ったといってももう大げさではないのだろう。

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これまでに獲得した5本の世界チャンピオンベルトを披露する井上尚弥=共同共同

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