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米ライドシェア2強に寡占の罠 ウーバー4~6月赤字最大

2019/8/9 21:41
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【シリコンバレー=白石武志】2019年前半に上場を果たしたウーバーテクノロジーズとリフトの米ライドシェア2強の業績がさえない。「所有」から「利用」への流れを受けて市場は拡大しているが、8日までに両社が発表した4~6月期決算は大幅な赤字だった。寡占状態になっても激しい顧客獲得競争で利益が出ないという、ビジネスモデルの罠(わな)に陥っている。

リフトは旅客輸送の受託サービスに力を入れる=ロイター

リフトは旅客輸送の受託サービスに力を入れる=ロイター

ウーバーが8日に発表した4~6月期決算は、最終損益が52億3600万ドル(約5550億円)の赤字となり、業績が確認できる17年1~3月期以降で最大の赤字となった。前日の7日に4~6月期決算を発表したリフトも6億4400万ドルの最終赤字を計上し、前年同期(1億7800万ドルの赤字)に比べ赤字幅を広げた。

ウーバーの業績を圧迫したのは、従業員に与えた株式による報酬の評価額を、上場に伴って算定しなおした費用だ。将来発生する株式関連の報酬を会社側が費用計上する必要があり、4~6月期に39億ドルの費用を計上した。そのうち研究開発部門は25億ドルを占め、技術者に支払う対価に自社株を積極的に活用していることが明らかになった。

また、この上場関連費用を除いても販売管理などの総費用は34%増の47億1000万ドルだった。リフトの総費用も研究開発投資の拡大などで2.2倍の15億4000万ドルに増加した。一方で期中の売上高はウーバーが14%増の31億6600万ドル、リフトが72%増の8億6700万ドルだった。

今後1週間、運賃を割り引きます――。米国のライドシェア市場でウーバーは7割、リフトは3割のシェアを握るが、顧客獲得のために激しいキャンペーン合戦を繰り広げている。総費用が売り上げを上回る異常な状態が2社の赤字の原因だ。

米証券会社ニーダム・アンド・カンパニーのローラ・マーティン氏は「ウーバーとリフトのように消費者が競合他社を代替品とみなしている場合、ネットワーク効果は貧弱な堀のようなものになる」と指摘する。

SNS(交流サイト)のフェイスブックなどでは利用者が多ければ多いほど便益が増す「ネットワーク効果」が発生し、顧客を深い「堀」で囲い込むことができるが、両社には当たらないという指摘だ。

ライドシェアで稼ぐ運転手の中には、リフトとウーバーの両方のアプリを駆使してより条件のいい乗客を捕まえようとするケースもある。2つのアプリで条件の良い車を探すのは乗客も同じだ。サービス収入の8割を運転手などに配分するビジネスモデルは変更しにくく、運賃には値下げ圧力が働く。

上場前は指折りの「ユニコーン」銘柄として注目を集めた両社だが、足元の株価はそろって上場時の公開価格を下回って推移している。株式市場ではコスト構造を一変させる自動運転の実用化までライドシェア事業の黒字化は困難との見方もある。従来のように成長力だけで株式市場の期待をつなぎ留めることは難しくなっている。

「米国の競争環境は改善の兆しをみせている」。7日の電話会見でリフトのローガン・グリーン最高経営責任者(CEO)がこう言及すると、翌8日の電話会見でウーバーのダラ・コスロシャヒCEOも「我々は収益の改善に焦点を置いている。リフトも同じ状況のようだ」と応じた。たたき合いを続けてきた両社のトップからは、赤字決算からの脱出口を求めて、競争を緩めたい本音も聞かれた。

ウーバーは料理宅配サービスも手掛ける=ロイター

ウーバーは料理宅配サービスも手掛ける=ロイター

全米にまたがる運転手らのサービス基盤を生かして、収益を多角化することも活路になる。ウーバーの4~6月期決算では料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の売上高が72%増の5億9500万ドルとなるなど、全体の伸びをけん引した。リフトも医療機関やテーマパークなどと連携した旅客輸送の受託サービスに力を入れている。

■東南アジア大手は多角化で先行

【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアのゴジェックやシンガポールのグラブなど東南アジアの配車サービス大手は、外食の宅配やモノの運搬など配車以外の事業を広げて利益を稼ぐ戦略を進めている。ライドシェアの事業化では米国勢が先行したが、多角化ではアジアの大手が先行しているかたちだ。

「配車は総取扱高の4分の1以下で、すでに外食の宅配が配車を上回っている」。ゴジェックのナディム・マカリム最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材でこう語った。「配車が損益分岐点にしか到達しないという前提で事業を構築している」とも話す。

スマートフォンの二輪車配車アプリを核に利用者を獲得し、日常的に使うあらゆるサービスを受けられる「スーパーアプリ」を目指す戦略だ。グラブも宅配事業「グラブフード」や電子マネーなどのサービスを拡充している。

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