2019年9月19日(木)

ドイツ経済、4~6月マイナス成長も 生産不振深まる
6月の輸出8%減 鉱工業生産指数も低下

貿易摩擦
2019/8/9 19:00
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【ロンドン=篠崎健太】欧州最大の経済大国であるドイツの景気が陰りを濃くしている。米中貿易戦争などで外需が低迷し、自動車を中心に製造業の不振に歯止めがかからない。14日に速報値が出る2019年4~6月期の国内総生産(GDP)は3四半期ぶりに前の期比でマイナスになったとの見方がある。7月以降も底入れの兆しは乏しく、低迷が続けばユーロ圏全体の景気の先行きにも影を落とすことになる。

米中貿易摩擦が外需を下押ししている(ドイツ北部ブレーマーハーフェンの港)=AP

「世界の自動車生産は弱いままだった。来年も回復は見込めない」。独自動車部品大手コンチネンタルのウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)は7日、事業環境の厳しさを投資家らに率直に語った。主力市場の欧州と北米が振るわず、4~6月期の純利益は前年同期より41%減った。人員削減策を労使で話し合っている。

独景気を下押しするのが中核産業の自動車の苦戦だ。中国では新車市場の前年割れが続き、BMWなど独自動車各社の生産と業績を圧迫している。工業大国ドイツは経済の輸出依存度が高く、米中貿易戦争のあおりを受けやすい構造にある。輸出額の上位3カ国に米国、フランス、中国が並ぶ。

ドイツ連邦統計庁が9日発表した6月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比8.0%減、前月比(季節調整済み)で0.1%減とそれぞれ減少した。7日発表した6月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は、前月比1.5%下がり、市場の予想以上に縮小した。4~6月の平均は1~3月比で1.9%の低下と、4四半期連続の悪化を記録した。

ドイツ連邦銀行(中央銀行)は既に、4~6月期の実質GDPが前期比で小幅減との想定を示している。最新の生産統計を受け、エコノミストの間では慎重な見方がさらに増した。オランダINGグループのカルステン・ブルゼスキ氏は「光明がなく壊滅的な結果」と指摘する。英バークレイズは4~6月期GDPの予想を0.1%減から0.2%減に引き下げた。

1~3月期のGDPは個人消費などが下支えして0.4%増となっていた。4~6月期のGDPがマイナスになれば18年7~9月期以来、3四半期ぶりとなる。

先行きにも黄信号がともる。英IHSマークイットが集計した7月のドイツ製造業景況感指数(PMI)は43.2と、6月の45.0からさらに下がり、12年半ば以来の低さになった。8月1日にはトランプ米大統領が中国に追加関税の第4弾を課す方針を表明した。個人消費は比較的底堅さをみせているが、内需がどこまで下支えできるかは予断を許さない。

金融市場では悲観的な見方が広がっている。ドイツの10年物国債利回り(長期金利)は7日に一時マイナス0.6%台に低下(債券価格は上昇)し、連日で史上最低をつけた。欧州中央銀行(ECB)が景気テコ入れへ金融緩和に動き、さらに金利が下がることを見越した買いが活発だ。2年債との長短金利差はリーマン・ショック直後の2008年9月以来の水準に縮んだ。

ロイター通信は8日、ドイツ政府が景気のテコ入れに向け、気候変動対策の財政出動にあてるための赤字国債発行を検討していると報じた。ユーロ圏経済の約3割を占めるドイツの不振は地域全体を揺さぶり、ECBの政策判断にも影響する。米中摩擦の影響度を探る上でも、ドイツ経済の動きに一段と注意を払う必要が出ている。

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