2019年9月18日(水)

ファーウェイ独自OS 米禁輸に備え次善の策

ファーウェイ
アジアBiz
2019/8/9 16:39
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ファーウェイが広東省東莞市で開催した技術説明会(同社によるウェブ中継画面より)

ファーウェイが広東省東莞市で開催した技術説明会(同社によるウェブ中継画面より)

【広州=比奈田悠佑】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は9日、スマートフォンなどに搭載する基本ソフト(OS)を独自開発したと発表した。米国による制裁で米グーグルのOS「アンドロイド」関連の機能が利用できなくなることに備える。米中貿易戦争の解決が見通せないなか、半導体とともにソフトの内製化を急ぐ。

新開発のOSの名称は「鴻蒙(ホンモン)」。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器向けのOSとして開発した。液晶テレビやウエアラブル端末、車載機器などの基盤となる。まずはファーウェイが近く発売する見込みのスマートテレビに搭載し、今後スマホへも組み込む可能性がある。

トランプ米政権は5月、ファーウェイを事実上の禁輸リストに加えた。同社は製品全体に占める米国由来の技術が金額ベースで25%を超える製品を原則調達できなくなった。

アンドロイドそのものは設計図を広く公開した「オープンソース」なので米国の政策にかかわらず使える。しかしグーグルが権利を持つアプリのダウンロードや検索、地図など付属の機能が規制の対象となる可能性がある。これらの機能は現在、8月中旬までの暫定的な措置で供給が続いており、米商務省が近く今後の判断を下す見通しだ。

ファーウェイで消費者向け端末事業グループの最高経営責任者(CEO)を務める余承東(リチャード・ユー)氏が9日、広東省東莞市で開いた技術フォーラムで発表した。同氏は、鴻蒙について「安全性はより強力で、あらゆる場面で能力を発揮する」と語った。

ファーウェイには、米国による事実上の禁輸措置で供給網が寸断されても、半導体も含めて自前の技術で乗り切れるとアピールする狙いがあるが、本音では、顧客の利便性が高い米グーグルのOS「アンドロイド」の採用継続が望ましいとみており、独自OS開発は禁輸という最悪のケースに備えた次善の策だ。

●設計図を公開

「アンドロイドよりも性能が高い」。9日に開いた技術フォーラムで新OS「鴻蒙(ホンモン)」を発表した消費者向け端末事業グループの最高経営責任者(CEO)、余承東(リチャード・ユー)氏は胸を張った。設計図を公開するオープンソースにする計画だ。余氏は「力を合わせ次世代のOSをつくろう」と外部エンジニアに鴻蒙を採用した機器や対応アプリの開発を強く呼びかけた。

トランプ米政権は5月、ファーウェイに対して事実上の禁輸措置を下した。アンドロイドもオープンソースで、アプリのダウンロードなどの付属機能も現在は暫定的に供給されているが、今後、輸出規制の対象となる恐れがある。ファーウェイは傘下の海思半導体(ハイシリコン)で、スマートフォンの性能を握る半導体の内製化も急ピッチに進めている。鴻蒙の開発で、米国の厳しい制裁に屈しない姿勢を強める。

中国本土ではもともとアプリのダウンロードなどグーグルの機能は使えない。当局が治安維持を目的に作ったネット監視システムで遮断されているためだ。ファーウェイや競合も中国企業などが開発した機能を組み込んでアンドロイドを搭載したスマホを販売しており、米制裁の影響はない。

華為技術(ファーウェイ)製品の販売店(広州市)

華為技術(ファーウェイ)製品の販売店(広州市)

問題なのは欧州など海外市場だ。中国外で販売するファーウェイのスマホは、基本的にグーグルの機能を組み込んでいる。禁輸でこうした機能が使えなくなれば客離れは避けられない。米調査会社カナリスの賈沫アナリストは「ファーウェイの海外事業は断崖のように急落する」と予測する。

ファーウェイは独自のプログラム作成システムを利用すれば、アンドロイド向けのアプリを鴻蒙用に転換することは「1~2日で終わる」(余氏)と強調する。

ただそう簡単ではない。米調査会社ネットアプリケーションズによるとスマホなどモバイル端末のOSの世界シェアは7月時点で、アンドロイドが69%強、米アップルの「iOS」が29%強だ。

かつて米マイクロソフトが「ウィンドウズ・モバイル」、米インテルや韓国サムスン電子が共同で「タイゼン」といったOSを開発したが、2強体制を崩すことはできなかった。2強は自社のOS向けアプリの開発環境に加え課金システムなどを長年かけて整備し外部のエンジニアや企業を取り込んできたためだ。

余氏は強気の発言をしながらも「アンドロイドを優先する。もし使えない場合、我々は鴻蒙がいつでも使える」と漏らした。ファーウェイとしてはアンドロイドの機能が禁輸にならないことを期待しながら、鴻蒙を搭載した商品の開発も急ぐという両にらみで構えざるを得ないのが本音だ。

●出荷1000万台減

余氏は同時に「米制裁の影響」として当初7千万台を予定していた同社の4~6月期の世界スマホ出荷が計画よりも1千万台以上減ったと公表した。米国の動きが事業のどのような部分に影響したかは言及しなかったが、ダメージの大きさを認めた。ファーウェイは、米商務省が今後アンドロイド関連など何を輸出規制するかをどう判断するか身構えている。

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