2019年9月19日(木)

プールの日焼け止めNG? 学校現場、揺れる対応

2019/8/10 11:30
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プールでの子どもの日焼け対策をどうするか、学校現場の対応が揺れている。水質への影響を危惧し、授業で日焼け止めクリームの使用を禁止する学校がある一方、ラッシュガードの着用で積極的に紫外線対策を進めるところも。専門家は「子どものうちに紫外線を浴び続けると皮膚がんになるリスクが増える」と注意喚起している。

日焼け止めクリームの使用が認められた千葉市の市営プール(千葉市提供)

日焼け止めクリームの使用が認められた千葉市の市営プール(千葉市提供)

「日焼け止めクリームの使用はご遠慮ください」。埼玉県ふじみ野市にある小学校で今年、このように書かれたプリントが配布された。理由は「水質に影響がある」。同市教育委員会は「濁った水が子どもの目に入ったり、水を飲み込んだりするなど健康上の問題がある」と説明した。同校は水泳以外の屋外の体育の授業でも、クリームを塗る時間がないなどとして原則禁止しているという。

ただ、同教委は「全て禁止しているわけでなく、保護者や生徒から個別に相談があればほとんど許可している」と説明している。今後、原則禁止の方針を変更するか検討するという。

クリームを禁止にする学校は少なくないが、5~8月は紫外線が強く、対策の重要性が指摘されて久しい。皮膚科医で子どもの健康問題に詳しい島田辰彦さんは「紫外線は免疫力を低下させ、体力を消耗させてしまう。子どもの頃から浴び続けると皮膚がんのリスクも高まる」として、日焼け止めの使用を柔軟に認めるよう求める。

日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会が2015年に定めた「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」も、「耐水性の日焼け止めを使用すれば汚濁されないことは複数の実証実験で明らかになっている」として、プールの授業での日焼け止め使用の許可を求めている。

市営プールでの日焼け止めクリームの使用を許可した千葉市のチラシ

市営プールでの日焼け止めクリームの使用を許可した千葉市のチラシ

同指針ではこの他、紫外線の強い時間を避けることやプールの上に天幕を張ることなどの必要性を指摘している。「午前の授業では通学前に自宅で、午後の授業では昼休みに塗る」としてクリームを塗る時間が無いとする学校向けの対策も示した。

プールなどで使える日焼けを防ぐための上着、ラッシュガードによる紫外線対策を進める学校も増えてきた。東京都中野区にある小学校は17年、「着用したいという保護者からの話が増えてきた」としてラッシュガードの着用を認める便りを保護者向けに出した。校長は「日焼け止めクリームは水質の影響が懸念されるので、ラッシュガードを積極的に使用してほしい」と話す。

夏休みに多くの子どもが訪れる市民プールでも対応の変化が見られる。千葉市は昨年から、市営プール全10カ所で日焼け止めクリームの使用を許可した。昨年、クリームの使用を許可したことによる水質の影響を調べた結果、禁止していたときに比べ水質に目立った変化が無かったことから、今年も継続して使用を認めた。

同市の担当者は「日焼け止めクリームを子どもに使いたいという声が多くあった。市民の健康への意識が高まっていて、対応を変えるべき時期だと判断した」と話している。

■小中学校、3割が不許可

公益財団法人日本学校保健会(東京・港)が2015年に実施した調査によると、小中学校でそれぞれ約3割、高校で約5割の学校がプールの授業で日焼け止めクリームの使用を許可していない。

「使用に際し、保護者などからの依頼を求めている」と答えた学校は小学校で29%、中学校で19%、高校で8%だった。小中高と特別支援学校を合わせて約1500校が回答した。

プールでの日焼け止めの使用について、同会が文部科学省の下で作った「学校における水泳プールの保健衛生管理」の09年度版は「水の汚れの要因となる」としていたが、16年度版では「日焼けしやすい児童生徒にはクリームを使用させてください」と変更した。

(中村信平)

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