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20年東京大会 日本記録持つランナーが抱く2つの願い
陸上短距離 大森盛一(最終回)

Tokyo2020
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2019/8/14 5:30
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大森盛一は指導者として20年東京パラリンピックを目指している

大森盛一は指導者として20年東京パラリンピックを目指している

2020年夏、東京に2度目の五輪・パラリンピックがやってくる。大森盛一(47)は全盲の走り幅跳び選手、高田千明のコーチとして東京への出場を目指している。一方、23年間破られていない陸上4×400メートル(1600メートル、通称マイル)リレーの日本記録保持者として複雑な感情も抱いている。最終回は走り続ける大森が東京大会にかける願いを届ける。(前回は「五輪入賞ランナー 指導者でパラリンピック『出場』」

◇   ◇   ◇

東京パラリンピックでのメダル獲得に挑む、全盲のジャンパー高田千明(34=ほけんの窓口)は7月、2年ぶりに自己新記録をマークし(4メートル60)1日で3度も日本記録を更新してみせた。

08年から指導する大森盛一は、北京、ロンドンに出場できなかった高田を100メートルから走り幅跳びに転向させ、さらに高みを目指してリオデジャネイロ(全盲T11のクラスで8位)後、女子走り幅跳びの池田久美子(現姓井村、鈴鹿市でイムラアカデミーを主宰)に特別コーチを依頼した。大森、池田と陸上の日本記録保持者2人が支え、開花させた才能の在り方は、個人的なストーリーのみならず日本スポーツ界全体にも重要な意味を示している。

■スポーツにおける平等を体現

20年東京が決定してから、これまで文部科学省の管轄下にあったオリンピック派遣事業と、リハビリの一環として厚生労働省が管轄してきたパラリンピックの垣根は取り払われ「オリンピック・パラリンピック」との表記をはじめ、両競技が並列されるよう進歩している。2人のトップ選手の指導で、高田が結果につなげたスタイルは、省庁や予算の枠組みだけではなく、スポーツにおける平等をさらに進化させていくきっかけになるかもしれない。

例えばアメリカでは、元五輪のスター選手がパラ陸上選手団の監督を務めるなど、強化拠点、科学データの共有などが盛んに行われる。自らの活動がささやかでも、日本のスポーツに何か貢献できるのではないかと大森も考える。

大森は高田(左)への指導で「パラスポーツの魅力に引き込まれた」

大森は高田(左)への指導で「パラスポーツの魅力に引き込まれた」

「高田の指導を始めた頃、自分にもパラスポーツの可能性やどうすれば引き出せるのかといった知識はありませんでした。ただ、続けるうちに彼らの潜在能力、魅力に引き込まれていった。自分が現役だった頃とはまた違うアプローチで競技に臨めるのは本当に幸せですし、オリンピックを経験した選手たちにも是非その財産を使ってほしいと思います」

1本1本の個性あふれる「木」が集まる「森」であってほしい。そう願い名付けた「アスリートフォレストTC」は、言葉通り豊かな「アスリートの森」を育てているようだ。

高田には、陸上選手として聴覚障害者の世界大会「デフリンピック」の出場経験を持つ夫・裕士と、長男・諭樹がいる。アスリートであり、妻であり、母である高田を指導するうえでもっとも重要なのは「彼ら2人の元へ、高田を無事に帰すこと」と、大森は即答する。

「重要なのは記録やパフォーマンスだけではなく、安全に競技に取り組める環境です。2人の元へ彼女をちゃんと返す。競技場を出るときではなく、それが自分にとってトレーニングの終了を意味しています」

最大の持ち味でもある助走のスピードと、池田直伝のジャンプテクニックで、11月7日に始まるパラ世界陸上(ドバイ)でのメダル獲得を狙う。

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