地域活性化に汗流す冒険家 九里徳泰さん
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2019/8/9 11:30
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相模女子大学教授の九里(くのり)徳泰(54)には「異色の経歴」という言葉がぴったりくる。冒険家として世界を舞台に活躍した後、一転学究の道へ。観光や持続可能な開発をテーマに研究を続けながら、地域の活性化に知恵を絞る。

九里徳泰・相模女子大教授

中央大入学後にサイクリング同好会に入り、チベット高原約3100キロメートルを走破した。卒業後は7年かけて南北米大陸を人力で縦断。合間にマッキンリー(デナリ)に登頂し、アラスカの海やアマゾン川でカヤックをこいだ。冒険家を対象にした国際的な賞も受賞した。

転機は30代はじめ。行く先々で人々の暮らしや自然に触れるうちに文明のあり方や環境問題への関心が高まった。「肉体的な冒険は十分やった。次は知の冒険だ」。大学院に入り、研究者として歩み始めた。

学者になっても象牙の塔にこもることなく、活動領域を広げる。富山県立大学教授時代に富山市の政策参与となり、行政課題にも向き合った。根底には「冒険していた時に世界中の人にお世話になった。恩返しをしたい」との思いがある。

2015年に相模女子大に移ってからは、学生を引っ張って地域を元気にする挑戦を続ける。世界遺産・五箇山(富山県南砺市)の合掌造り集落の雪下ろしをしたり、キャンパスに近い東京都町田市の観光振興を考えたり……。

今夏は8月上旬から1カ月間、ゼミ生6人とともに富山県氷見市の集落に滞在する。空き家や耕作放棄地を調べ、現地の人々との交流を通じてニーズを探る。学生との活動は自治体も巻き込み、今年度から県の事業となった。「リアルな課題解決を社会で体験することで、学生もモノの見方が変わる」のだという。

天気がいい日は神奈川県茅ケ崎市の自宅から相模原市の大学まで、20数キロメートルを自転車で通う。今春の大型連休には、熊野古道の奥駈道(おくがけみち)約100キロメートルを完歩した。

「タイミングが合えばエベレストに登ってみたい」。決して「肉体的冒険」を忘れたわけではなさそうだ。=敬称略

(横浜支局長 石川淳一)

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