2019年9月16日(月)

クラフトビール、醸造所でプチ製造体験
ヤッホーブルーイングがイベント

コラム(ビジネス)
2019/8/17 4:30
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「モルトってこんな味がするんだ」「麦汁は甘いんだな」。クラフトビール最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)が8月上旬に開いた、同県佐久市にある醸造所でのファンイベントの光景だ。施設の中の設備などを見学できるだけではなく、製造工程の一部を実際に体験できる本格的な内容で、2日間で約1000人が訪れた。

JR佐久平駅から専用バスに揺られること約15分、醸造所の中は多くの人でごった返していた。その多くがクラフトビールの熱心なファンだ。最近飲み始めたというビギナーから、同社のTシャツを着こなすコアなファンまで幅広い。地元・長野に加えて、首都圏や関西圏など全国各地から集まり、なかには韓国からやって来たという外国人旅行者までいた。

今回のイベントの目玉は、参加者が様々な体験をできることだ。ビールの原材料であるホップやモルトの匂いを嗅いで試食したり、できたての味をテイスティングしたり、ビール缶のふたを取り付ける作業やたる運びなど。醸造所のあちこちから歓声が聞こえてきた。「日本酒の蔵開きイベントが人気のように、醸造所を身近に感じてもらいたいと知恵を絞った」と、広報担当者は話す。

試飲コーナーにはお目当ての1杯を求めて行列ができていた。「よなよなエール」など最近はスーパーなどでも見かけるような銘柄から、ラベンダーを使った個性的なビールなど普段なかなか飲めない試験的な商品まで並ぶ。東京から来たという40歳代の夫婦は「驚きの素材から珍しい味わいに出合えるから、何度も並んで飲み過ぎてしまう」と笑顔を見せる。

同社はこれまでも様々なファン向けイベントを開いて、市場の開拓に力を入れてきた。キリンビールによると、クラフトビール市場全体は2016年の3万7000キロリットルから19年は4万4000キロリットルにまで増えるという。中小規模であっても、味わいや香り、色など個性があふれる1杯を様々な場でアピールすることで、ビール好きの心を少しずつ、着実につかんできたようだ。

だが、人口減や若者のアルコール離れなどで、ビール全体の消費量は18年まで14年連続で縮小している現実もある。逆風に負けず成長を続けるクラフトビールだが、このまま伸び続ける保証はない。味や香りだけでなくイベントも、さらなるアイデアが欠かせない。そしてファンたちもさらなる驚きを待っている。

(近藤康介)

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