米バーニーズ、2度目の経営破綻 ネットの台頭逆風

【ニューヨーク=高橋そら、河内真帆】米高級衣料品店バーニーズ・ニューヨークが6日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。同社の破綻は1996年に続き2度目。旗艦店の不動産賃料の高騰や高級衣料品の販売不振で経営が悪化した。債務圧縮のため店舗の大半を閉鎖し、新たなスポンサーを探す。
「困難な小売り環境と過度に高い賃料のため、財務状態が劇的な打撃を受けた。今回の決定で業務を最適化するために必要なツールを得た」。バーニーズのダニエラ・ヴィターレ最高経営責任者(CEO)は同日の声明文でこう述べた。
アウトレット店を含めて米国で展開する全22店のうち15店を閉店する。ニューヨークのマンハッタンやロサンゼルス郊外のビバリーヒルズ、サンフランシスコなどにある旗艦店は営業を続ける。取引業者や製造元への支払いも続けるという。
当面の運転資金は、商品在庫などを担保に資金を貸す動産評価会社の米ゴードン・ブラザーズ・グループとヒルコ・グローバルから合計7500万ドル(約80億円)の追加融資を受けてまかなう。

バーニーズは23年創業の老舗で、年間売上高は8億5000万ドル程度とみられる。2008年のリーマン・ショック以降、主力の高級衣料品の販売が低迷。米アマゾン・ドット・コムに代表されるネット通販企業の台頭で店舗への集客力が鈍化する一方で、自社のネット戦略は出遅れた。
ニューヨーク中心部の不動産賃料の高騰も大きな負担となった。マンハッタンの旗艦店の賃料は19年に入り、年間約3000万ドルと前年の2倍近くまで急上昇したもようだ。経営陣は「財務内容を改善し長期的に成長する方法を検討している」として、身売りも含め破産の回避を探ったが、まとまった資金を確保できなかった。
バーニーズの破綻は初めてではない。96年には多店舗展開に失敗して破産法11条を申請し、複数店舗の閉鎖・売却で再建した。12年に米投資ファンドのペリー・キャピタルが過半数の株式を取得して親会社となった。
日本では伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス)が89年にバーニーズと提携。共同出資でバーニーズジャパンを設立、東京・新宿に第1号店を出店した。
だが、米バーニーズが1度目の経営破綻に陥った際には両社の間で債務不履行やライセンス契約の解消などをめぐり訴訟に発展した。07年にはファーストリテイリングが米バーニーズの買収を提案したが、条件が合わず断念した経緯がある。
現在、バーニーズジャパンはセブン&アイ・ホールディングスの完全子会社で、米バーニーズとの契約に基づき、都内を中心に12店を展開している。19年2月期の売上高は前年比2%減の208億円だった。米バーニーズと資本関係はないため、日本の店舗は営業を継続する。
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