2019年9月22日(日)

九州の設備投資 3年連続2桁増 半導体・不動産けん引

2019/8/6 20:18
保存
共有
印刷
その他

日本政策投資銀行九州支店がまとめた九州7県の企業の2019年度の設備投資額(計画)は、前年度比15.8%増の7573億円になった。不動産開発や半導体関連投資がけん引し、3年連続で2ケタ増となる。米中貿易摩擦で世界経済は不透明感も漂うが、企業の投資マインドに陰りは見られなかった。

3年連続2ケタ増は高度成長期の1960年代後半以来。地域別では九州は北陸(29.2%増)、中国(17.9%増)に次ぎ、全国平均の11.3%増を上回った。

製造業は13.2%増の3316億円。研究開発拠点の整備や工場新設で電気機械が97.7%増加。ウエハーなど半導体部材増産に向けた能力増強投資で非鉄金属が42.9%増える。

米国の対中制裁関税や中国の消費減速で半導体関連の生産・輸出が落ち込むが、長期ではデータセンター需要などが期待でき、投資姿勢に変化はなかった。

次世代通信規格「5G」への対応から通信・情報は23.1%増加する。これまで盛り上がりに欠けた自動車など輸送用機械も19.5%増と全国の13.3%増を上回った。新モデルへの対応のほか、電池など電動化関連の生産投資が膨らんだ。

非製造業は17.9%増の4257億円。ターミナル駅周辺などでオフィスビルの開発が相次ぐ運輸が39.2%増と大幅に伸びた。不動産は30.6%増、建設は18.8%増。ただホテル開発には一服感があり、サービスは16.5%減となる。

近年のけん引役だった電力は、家庭用太陽光発電の固定価格買い取り制度の期限が順次終わるため8.5%減少する。

県別では熊本市中心部で再開発計画が進む熊本県が80.2%増だった。長崎県は63.9%増で、福岡県は19.5%増だった。食品工場の建設が一巡したことなどから、宮崎県が25.0%減、鹿児島県が7.4%減とマイナスに転じた。

生産性向上や省力化に向けた投資計画は全国でも旺盛だ。だが実行するには人手不足や資材価格の高騰が課題になる。18年度も計画段階では29.1%増だったが、実際の実績値では17.6%増に落ち着いた。「計画しても、進捗や支払いに遅れが出ている」(九州支店)。建設業では人手確保に向け福利厚生関連の投資もある。

調査は企業の本社所在地を問わず、6月下旬時点の九州7県における設備投資計画をまとめた。金融保険業を除く資本金1億円以上の企業が対象で966社が回答した。

■「省力化投資 不可欠に」

堅調だった九州経済は米中貿易摩擦などで先行きに不透明感が出てきた。日本政策投資銀行九州支店の礒崎隆郎支店長に動向を聞いた。

――設備投資計画の増加率はやや鈍化した。

「今年度は実績で1桁台の増加に落ち着くかもしれないが引き続き堅調といえる。九州は新製品の開発、合理化に向けた投資に対して、経済界全体を上げた機運がある」

「経営者は5年、10年先を見据えて設備投資をしている。米中貿易摩擦などへの懸念はあるものの、コスト削減につながる省力化投資は必要不可欠になっている」

――課題は何か。

「各県それぞれ特色がある故、好事例の横展開が進んでいない。政投銀では個別に事例紹介やマッチングをしているが、さらにうねりを起こすために情報発信などの仕掛けを考えたい」

「地域の中小・中堅企業には、政投銀の機能があまり知られていない。地銀との連携を深めるなど大企業以外とも関わりを増やし、海外進出やM&A(合併・買収)を支援したい」

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。