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真価問われる1年へ原点回帰 バスケ藤岡麻菜美(下)

藤岡麻菜美が所属するJX-ENEOSは3月、史上初のWリーグ11連覇を遂げた。同じポイントガード(PG)の「レジェンド」吉田亜沙美の現役最終戦にもなったファイナルで歓喜の輪に加わりながら、わずか15分程度の出場に終わった藤岡の心は揺れていた。「リュウさん(吉田)がゲームメークしてチームが勢いづくのをベンチから見るのが、本当に悔しくて。悩みの絶頂だった」

ファイナルを含め、昨季の先発は藤岡に固定されていた。日本代表ではライバルの後じんを拝し、苦闘の日々を送っていたリーグ開幕前、吉田から直接託されたのだ。「東京五輪を考えると、シックスマン(ベンチの切り札)とスタート(先発)は全然違う。JXでスタートの責任、自覚を感じてほしいから、私はバックに回る」と。

原点回帰のプレーで「とにかく結果を追求したい」

本来は実力で奪うべきポジションの禅譲。日本代表でも主力を務める渡嘉敷来夢、宮沢夕貴らがいるぜいたくなチーム故に、それが可能だったのだろう。吉田という、このチームで10年超のキャリアを誇る大黒柱がベンチにどっかり腰を下ろしている。「いざとなれば」という安心感がチームに漂っていたことも、藤岡は痛いほど分かっていた。

「パスで味方をうまく使う」吉田のコピーを目指した時期もあったが、たやすくまねできるはずもない。なかなかリズムが合わず、吉田と交代したとたんに雰囲気が一変。そんな場面を何度も目の当たりにし、はっきり気づいた。「あうんの呼吸はすぐにはできない。自分の良さを出さないと絶対に上に行けない」

小学2年で通い始めた地元のミニバスは、ドリブルに多くの時間を割くチームだった。自在に相手をかわすプレーが水に合っていたのだろう。中学、高校では無名校を全国に導いた。

大卒後、日本一の強豪を選んだのは「(他チームで)1年目から先発するより、将来日本代表で活躍したい。リュウさんのもとで学び、(代表の主力と)練習できる環境がガードには何より大事」と考えたから。その吉田が去り、藤岡の真価を問うシーズンが迫る。

9月下旬にアジアカップが控え、直後にWリーグが開幕する。思い描くのはドライブで守備をはがし、パスで攻撃の起点となるという、原点に立ち返ったプレー。「11連覇はリュウさんあってのもの。今季勝てたら自信になると思う。代表でもとにかく結果を追求したい」。偉大な先輩の足跡を自分の色で上書きする。それが失いかけた自信を取り戻す処方箋となるはずだ。(敬称略)

(鱸正人)

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