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今夏は選手が大移動 J1勢力図どう変わる?
サッカージャーナリスト 大住良之

2019/8/8 5:30
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ことしの夏は、Jリーグ1部(J1)でも例年にない、選手の「大移動」があった。「期限付き移籍」を含め、若手を中心に欧州への移籍が10人を超し、8月5日現在でJ1からJ1への移籍も17人を数えた。

国際サッカー連盟(FIFA)の「選手の地位と移籍に関する規約(Regulations on the Status and Transfer of Players)」の第6条に「選手登録できる期間」という項目があり、これが一般にいう「移籍期間」に当たる。「主要移籍期間」はシーズンオフの最大12週間。そしてシーズン半ばに最大4週間の「第2移籍期間」を設定できることになっている。

 鹿島の安部裕葵はスペイン1部のバルセロナへ=共同

鹿島の安部裕葵はスペイン1部のバルセロナへ=共同

「秋春制」のシーズンで行われている多くの欧州のリーグの大半は6月から8月いっぱいまでの3カ月間が「主要移籍期間」。しかし「単年制」の日本は、夏は「第2移籍期間」に当たる。ことしは、7月19日から8月16日の4週間。締め切りまで少し時間がある。

ただ、新加入の選手が新しいチームになじむ時間がしっかり取れるにこしたことはない。J1は7月の最後の週末は「ミニ中断」。チームの現場から「補強するならその前に」という要請があったのは想像に難くなく、今後はそう多くの移籍はないと予想される。

鹿島は次代を担う3人が欧州へ

さて、今夏の移籍で最も大きな動きがあったのは、Jリーグで4位につけ、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも準々決勝進出が決まっている鹿島アントラーズだろう。DF安西幸輝(ポルティモネンセ)、FW鈴木優磨(シントトロイデン)、そしてFW安部裕葵(バルセロナ)と、これからの鹿島を担うと期待されていた主力の若手が3人も欧州に移籍してしまったからだ。MF小泉慶をJ2の柏から、そして6月の南米選手権で日本代表にデビューしたFW上田綺世を法政大から獲得したが、MFレオシルバなど故障者もいるため、まだ補強が必要だ。

鹿島と同じような痛手を受けたのは首位を走るFC東京だ。6月にMF久保建英(レアル・マドリード)を手放したのに続き、韓国人のセンターバック張賢秀(チャン・ヒョンス)がサウジアラビアのアル・ヒラルに移籍した。攻守の中心と言っていい2人を失い、G大阪からDF呉宰碩(オ・ジェソク)、神戸からMF三田啓貴を補強。FW永井謙佑の活躍などで首位を守っているが、ラグビー・ワールドカップのため8月下旬から続く「アウェー8連戦」で守備陣がどこまで耐えられるか――。

 FC東京からレアル・マドリードに移籍した久保建(中央)は既に強化試合にも出場している=共同

FC東京からレアル・マドリードに移籍した久保建(中央)は既に強化試合にも出場している=共同

もう1クラブ、大きな動きがあったのがG大阪だ。8月5日までに8人もの選手がチームを離れた。なかでも韓国代表でもエース格のFW黄義助(ファン・ウィジョ、ボルドー)、36歳の今もハイレベルな攻守を見せるMF今野泰幸(磐田)の移籍は大きな痛手だ。

しかしFW宇佐美貴史がドイツのアウクスブルクから、そしてFWパトリックが広島から復帰、さらにMF井手口陽介もイングランドのリーズから復帰したのは大きい。下位に甘んじたシーズン前半とは大きく変わるG大阪の布陣。興味深いチームのひとつだ。

欧州のスターを次々と獲得して話題を集めるヴィッセル神戸は、「外国籍選手出場制限(1試合に5人まで)」で出番を失ったGK金承奎(キム・スンギュ)が韓国の蔚山現代に移籍したが、GK飯倉大樹を横浜FMから獲得してその穴を埋め、新たにドイツで生まれ育ったレバノン代表DFジョアン・オマリをサウジアラビアのアルナスルから、そしてベルギー代表DFフェルマーレンをバルセロナから補強した。21試合で32得点は首位FC東京と1点少ないだけだが、38失点という守備のもろさが出て15位という思いがけない順位にいる神戸。2人の新センターバックの活躍が浮上への力になるだろうか。

動きの多くないクラブにも、重要な移籍があった。ベガルタ仙台は日本代表GKシュミット・ダニエルをベルギーのシントトロイデンへの移籍で失ったが、ポーランドのブロツワフからポーランド代表GKスウォビクを獲得。さらにはブラジル人FWジオゴアコスタも加入し、2人ともすでに7月20日のC大阪戦(0-0の引き分け)でJリーグにデビューしている。

MF関根復帰で浦和は攻撃力アップ

浦和レッズも動きの多くないクラブだが、2年間ドイツやベルギーでプレーしていたMF関根貴大が復帰。さっそく7月20日の磐田戦で左ウイングバックとして出場、鋭いドリブル突破で3-1の勝利をもたらすと、8月4日の名古屋戦では後半追加タイムに貴重な同点ゴールも決めた。ことしの浦和は攻撃力低下が大きな問題だったが、関根がサイドを突破することで見違えるような攻撃力を見せるようになった。

MF天野純をベルギーに送り出した横浜F・マリノスは、さらにFWエジガルジュニオが大けがで離脱となったが、すかさずブラジルのパルメイラスからFWエリキを補強したのはさすがだ。GK六反勇治がオーバートレーニング症候群で長期離脱の清水エスパルスは、鳥栖から今季10試合に出場しているGK大久保択生を補強。これも重要な移籍だ。

 G大阪・パトリック(中央)は移籍して早速ゴールも決めた。左は神戸・イニエスタ=共同

G大阪・パトリック(中央)は移籍して早速ゴールも決めた。左は神戸・イニエスタ=共同

先週末に行われた第21節で先発やフル出場をした選手が10人を超え、G大阪のパトリックや磐田の今野は移籍後初出場で早くも得点を記録している。

昨年の夏の移籍では、前田直輝(松本→名古屋)がリーグ後半戦だけで7ゴールを挙げる活躍を見せ、7月にブラジルから鹿島に加入したセルジーニョはクラブに初のACL制覇をもたらした。

今後、鹿島やF東京などが主力の移籍にどう対応していくか、また、とくに外国籍選手やJ1クラスの選手を補強したクラブがそれをどう生かし、チーム力で順位アップにつなげていくか、その成功・不成功が、今季の最終成績に大きな影響を与える。

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