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ホテル、本当にバリアフリー? 下調べ要らない日本に

マセソン美季

ホテルのバリアフリー化は急務だ(東京・西新宿の京王プラザホテルのユニバーサルルーム)

カナダに生活の拠点を置く車いすユーザーの私は、日本だけではなく様々な国を仕事で行き来している。だから、障害のある人たちを取り巻く各国の環境を比較した意見を聞かれることが多い。

その際にスムーズに答えられるように、というわけでもないのだが、出張先でちょっとしたことに気づくと、メモを取ったり、写真を撮影したりすることが習い性になった。そうしてスマートフォンに収めた写真には、公共のトイレや宿泊先の浴室が写っていることが多い。

インターネットで検索すれば、様々な情報が簡単に入手できる時代だ。トイレの入り口の写真やホテルのベッドの写真は見つけやすい。でも車いすユーザーとして一番知りたい、「トイレの中がどういう構造か」「ホテルの浴室がどうなっているのか」という情報は、実は探すのが極めて難しいのだ。

カナダが暮らしやすいのは、慣れない場所に出かけるときに、そんな細かい下調べをする手間がいらないこと。施設が「アクセシブル」「バリアフリー」とうたっていれば、その言葉に裏切られることはない。トイレも浴室も、どんな車いすユーザーでも使える構造になっている。たとえ設備が整っていなくても、その場にいる人たちが知恵を絞ってくれるので、問題はすぐ解決される。

残念ながら日本では、まだそうではない。飲食店などで車いすを理由に入店を断られることがあるし、入れたとしても肩身の狭い思いをすることもある。「バリアフリー」と公言しているお店に自力で入ることができず、あぜんとしたこともあった。だから日本では現地で嫌な思いをしないように前もっていろいろ調べ、「行きたいところ」ではなく、「車いすでも行けるところ」を探す癖がなかなか抜けない。

改正バリアフリー法により、今年9月から新築・増改築をする大きなホテルは、全室の1%以上をバリアフリールームとすることが定められた。障害者に優しくなった日本のホテルの部屋の写真が、私のスマホの中に増えていってくれたらうれしい。

マセソン美季
 1973年生まれ。大学1年時に交通事故で車いす生活に。98年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金メダル3個、銀メダル1個を獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。2016年から日本財団パラリンピックサポートセンター勤務。国際パラリンピック委員会(IPC)教育委員も務める。

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