2019年9月21日(土)

印パ、カシミール紛争再燃、インド強硬、軍を増派

2019/8/5 21:30
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【ニューデリー=馬場燃】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方の紛争が再燃している。両軍の衝突を受け、インドのモディ政権は住民に避難を勧告し、軍の増派を決めた。パキスタンのカーン首相は米国に接近し、トランプ米大統領による「仲裁」に期待を示すが、インド側は第三者の介入を拒否している。事態が沈静に向かうかは見通せない。

インドはカシミール地方での防衛を手厚くしている=AP

印パは1947年の独立以来、カシミール地方に互いが支配地を設けて争っている。ここ10日間で支配地の境界線にあたる場所で衝突が激しくなり、インド側の支配地内でパキスタン軍5人が死亡した。

インド政府は4日に避難勧告を出し、住民や旅行者など約2万人を退避させた。5日には約8千の軍隊をカシミール地方に新たに派遣することを決めた。同地方を中央政府の管轄に置く措置も急きょ決めており、不測の事態への備えを固めた。

印パは2月にも互いの実効支配線を越えて空爆しあった。インドのモディ首相はパキスタンへの強硬姿勢を支持につなげ、5月の総選挙で再選を果たした。その後もパキスタンとは距離を置いており、スリランカなど近隣諸国への積極外交の一方、カーン氏の対話の呼びかけは拒んでいる。

これに対し、カーン氏は4日、「このままだと地域に重大な危機を招く危険がある。今こそトランプ氏が申し出ているカシミール問題の仲裁を願うときだ」とツイートした。カーン氏は7月末、米国でトランプ氏と会談しており、仲裁を話し合ったと見られている。パキスタンの戦力はインドに大きく劣り、カーン氏は対立に焦りを強める。

トランプ氏はカーン氏との会談後、6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の際にモディ氏から「仲裁」を要請されたと主張し、「私が求められるならば喜んで仲裁役になる」と表明していた。インド政府はこれを即座に否定し、カシミール問題は「すべて2国間で協議される」と改めて強調した。

トランプ氏とカーン氏の接近の背景について、オブザーバー・リサーチ財団のスシャント・サリーン氏は「パキスタンは米国にカシミール問題でインドに圧力をかけてもらう見返りに、アフガニスタン問題で米国に協力する取引をしているのではないか」と指摘する。アフガン駐留米軍の撤収を目指すトランプ氏は、同国の反政府組織タリバンとの交渉を仲介するパキスタンの役割を重視していることは確かだ。

インドの明確な反対にもかかわらず、トランプ氏は1日にも「カーン氏とモディ氏は素晴らしい人々だ。私は仲裁ができる」と繰り返した。米国が水面下でパキスタンと取引しているとすれば、カシミール問題を一段と複雑にし、対中国で連携する米印関係にも影響する可能性がある。

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