ダム放水や「軍艦島」上陸 インフラ観光(INFOCUS)

IN FOCUS
2019/8/11 4:00
保存
共有
印刷
その他

「明治時代の戦争に備えた島が今も残っていたなんて」と驚きながら写真撮影を楽しむ人たち。「東の軍艦島」とも呼ばれ長く立ち入り禁止だった「第二海堡(かいほう)」(千葉県富津市)。旧日本陸軍が東京湾に建設した人工島への上陸ツアーが今春から始まった。現在は国土交通省が管理し灯台が設置され航路監視業務などに使われている。

横須賀港から船で25分。島からは東京湾が360度見渡せた(第二海堡)

横須賀港から船で25分。島からは東京湾が360度見渡せた(第二海堡)

ダムなどのインフラを観光資源に活用するインフラツーリズムが広がっている。民間旅行会社のツアーが年々増加。普段は立ち入れない施設見学で人を呼び込み、地域活性化につなげる動きもある。国交省のポータルサイトの掲載件数は437(2019年7月)に上る。

水位調整で夏季だけ現れるダム湖の滝。ライトアップは9月下旬まで毎日行われる(岩手県西和賀町)

水位調整で夏季だけ現れるダム湖の滝。ライトアップは9月下旬まで毎日行われる(岩手県西和賀町)

岩手県西和賀町のダム湖「錦秋湖」では水位が低下する7月下旬にイベントを開催した。町は大規模な投資をせずににぎわいを創出できると今年からライトアップに協力。町内宿泊者には湖面をスタンドアップパドルボード(SUP)で巡るツアーも提供し、2日間で町の人口に迫る約5千人が来場した。

豊平峡ダム(札幌市南区)では噴出口の間近まで近づいて放水を見学できるツアーを年1回実施。道内外からのダムファンが集まった。

受け入れる施設側も工夫を凝らす。「地下神殿」の愛称で人気の首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市)。地下の巨大空間は洪水対策のための調圧水槽だ。見学時には見られない洪水時の様子を疑似体験できるAR(拡張現実)アプリを導入。水がたまる様子が端末画面に映し出され、多言語で解説も読める。

首都圏外郭放水路のツアーでARアプリを使う米国から参加したダイアン・スタンさん。「日本の水害対策を知ることができ勉強になった」と話す(埼玉県春日部市)

首都圏外郭放水路のツアーでARアプリを使う米国から参加したダイアン・スタンさん。「日本の水害対策を知ることができ勉強になった」と話す(埼玉県春日部市)

インフラツーリズム自体の知名度は16%(同省調査)とまだまだ。今後は訪日客への対応、周辺地域への立ち寄りや宿泊にまで広げ、約50万人(17年度)の年間来訪者数を20年度には倍増させる計画だ。(写真・文 伊藤 航、樋口 慧)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]