宝塚雪組「壬生義士伝」 望海風斗が純朴な侍を好演

文化往来
2019/8/10 6:00
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東京宝塚劇場(東京・千代田)で幕末を舞台にした雪組の「壬生義士伝」が上演中だ。きらびやかな宝塚歌劇では異色の主役となる純朴な田舎侍をトップスターの望海風斗(のぞみ・ふうと)が演じる。家族への情愛がにじむ丁寧な演技で、まっすぐな人柄を造形している。

トップ2人は奥行きのある演技と歌唱で夫婦愛を印象付けた(C)宝塚歌劇団

トップ2人は奥行きのある演技と歌唱で夫婦愛を印象付けた(C)宝塚歌劇団

南部藩の下級武士、吉村貫一郎は長年の恋を実らせ、村の娘しづと結婚した。貧しくも幸せな日々を送るが、ある日、身ごもっていたしづが「口減らし」のため自殺を図る。衝撃を受けた貫一郎は極貧から妻子を救うために脱藩を決意。浪士たちが集まる新撰組に入り、反幕府勢力を斬殺しながら、仕送りを続ける。

過去にテレビドラマ・映画化された浅田次郎のベストセラー小説が原作。近藤勇や土方歳三ら、誰もが知るヒーローではなく、東北出身の一隊士に焦点をあてたところが面白さだ。貫一郎は剣術にたけ、稼ぐために仕事を選ばない。周囲から「守銭奴」とからかわれても、愛する家族を守るという信念を曲げず淡々と仕事に打ち込む。

望海は「おもさげながんす(申し訳ない)」といった癖の強い南部弁を操りながら、ぼくとつな人柄を自然体で表現する。トップ娘役の真彩希帆(まあや・きほ)が演じるしづとの絡みは少ないが、2人の演技と歌声に奥行きがあり、深い愛情を感じさせて見事だ。家族を思いながら貫一郎が切腹する悲劇的なクライマックスは客席の涙を誘い、深い余韻を残した。

骨太で質実なドラマから一転、第2部のショー「Music Revolution!」はロックやラテンの名曲をちりばめたとことん華やかな舞台。望海はダイナミックなダンスと色気たっぷりの表情、そして得意の歌唱を見せつけ、トップとしての器量の大きさを印象付けた。9月1日まで。

(佐々木宇蘭)

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