2019年9月18日(水)

米、銃乱射事件相次ぐ 野党「トランプ氏が助長」と非難

2019/8/5 16:06
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【ニューヨーク=高橋そら】米南部テキサス州と中西部オハイオ州で起きた銃乱射で計29人が死亡した事件を受け、トランプ米大統領は4日「我々の国は憎悪が巣くうのを許すことはない」と述べ、増悪犯罪(ヘイトクライム)を認めないと強調した。ただ人種差別的な発言を繰り返してきたトランプ氏に対して野党・民主党などから責任を問う声が相次いでいる。

銃撃現場には犠牲者を悼み花束や米国旗をささげる人々が集まった(4日、テキサス州エルパソ)=ロイター

警察によると、20人が死亡したテキサス州エルパソの大型商業施設で3日に発生した銃乱射事件で、パトリック・クルシウス容疑者(21)は犯行直前に「移民は米国の未来にとって有害にしかなりえない」などと中傷する犯行声明をネットに投稿していた。3月にニュージーランドのクライストチャーチでモスク(イスラム教礼拝所)にいた51人が犠牲になった銃乱射事件の被告を「支持する」とも表明した。

エルパソはメキシコ国境沿いで、人口の大半をヒスパニック(中南米系)が占める。1千キロメートル離れたダラス近郊に住む容疑者がエルパソを襲撃地に選んだ背景には中南米系移民に対するヘイトクライムの可能性があると警察や米連邦捜査局(FBI)はみている。

オハイオ州デイトンで4日起きた銃乱射では9人が犠牲になり、容疑者も警察に撃たれて死亡した。米メディアによると、これまでの捜査で人種差別などの犯行動機を裏付ける証拠は見つかっていないという。

近年、米国では人種や宗教など特定の属性を持つ人々に対するヘイトクライムが相次ぐ。FBIによると、2017年は7175件と前年から約17%増えた。全体の6割が人種や民族を理由にした事件だという。18年10月には東部ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)で白人の男が銃を乱射し、11人が死亡した。

「憎悪をかき立てる大統領に後押しされた白人至上主義という思想を拒絶しなければ問題を解決することはできない」。民主党の大統領選候補指名を争うバイデン前副大統領は4日、ツイッターで訴えた。エルパソが地元のオルーク前下院議員も「トランプ氏は公然と人種差別や暴力を促している」と非難した。

トランプ氏は非白人に対する人種差別とみなされかねない主張を繰り返す。7月末には黒人のイライジャ・カミングス下院議員が地盤とするメリーランド州ボルティモアについて「ネズミがはびこり、吐き気がするとんでもない場所だ」と中傷。ソマリア生まれの女性議員らには「国に帰っては」と促した。

トランプ氏は17年8月に白人至上主義者と反対派が衝突して死者を出した事件でも白人至上主義を非難せず、批判を浴びた。白人層を基盤とするトランプ氏にとって一連の発言は支持固めの一環とみられるが、反移民感情を持つ人々の主張を助長しているとの見方もある。

トランプ氏は4日、滞在先のニュージャージー州の空港で記者団に対し、銃乱射事件を非難する一方で「(犯行は)とても深刻な精神的な病を患った人物によるものだ」と述べ、自身の責任には触れなかった。マルバニー大統領首席補佐官代行も「トランプ氏の責任を問うのは不公平だ」と擁護した。

与党・共和党でもトランプ氏の責任を問う声は少ない。下院共和党トップのマッカーシー院内総務は同日の米メディアのインタビューで、銃撃事件について「銃撃を含むビデオゲームが人間性を奪っている」と懸念を示したが、トランプ氏の影響には言及しなかった。

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