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悩み簡単解決 振るだけで寄るアプローチ術(中)

 米南フロリダ大学で特待生としてゴルフ部で活躍、日本に帰国後、インストラクターを生業とし、TVなどメディアに登場。現在は独自の理論を構築し、銀座ゴルフアカデミーの主幹として生徒をシングルハンディに導いている。そんな吉本巧プロがアプローチに悩む読者のために、振るだけでうまく打てる方法を伝授してくれた。誰もが簡単にできるナイスアプローチ術だ。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.43」から)

吉本 では、今のが8ヤードでしたから、2ヤード分、距離を多めに打ってみましょう。振り幅を少しだけ大きくすればよいですよ。

──打ってみると、またもやきれいにヒットでき、ピンにぴったりです。20ヤードも30ヤードもそうして打ってみたいと思います。

吉本 実際にやってみましょう。

──打ってみると、どちらも思ったより少し短く、自分の8時~4時では16ヤード、8時半~3時半では24ヤードでした。でもそれがわかったので、その距離のときに、この振り幅でトライしてみたいと思います。これなら1パットが増えそうです。

吉本 そのやり方でよいです。それを基準に1ヤード刻みで増減できるように振り幅を変えればよいと思います。

──先程10ヤードのときにやったことですね。

吉本 そうです。では、この「小文字y打法」がうまくいかなかった人に1つドリルを教えます。「切腹ドリル」と呼んでいるもので、クラブをもう1本持ち、逆さにしてグリップ部分を重ね、2本分の長いものにします。2本のグリップを一緒に持ち、小文字の「y」を作ってアドレスします。

ハンドファーストにすることから、継ぎ足したシャフトでの小文字の「y」は左脇下を通り抜けています。その小文字の「y」字を維持して振れれば、継ぎ足したクラブのシャフトは体に触りません。つまり体が切られないように振ることを覚えられ、「y」字を保ったまま振ることができるようになるというわけです。

「小文字y打法」がうまくいかない人は、2本のクラブをつなげた「切腹ドリル」を行い、シャフトで腹を切らないように打つとよい

──長く足したシャフトが自分の体を切るように当たってはいけないということですね。

吉本 その通りです。

基本その2 40~70ヤードのロングアプローチ

吉本 グリーン周りのショートアプローチの次は、ロングアプローチです。使うクラブは同じく48度~52度のアプローチウエッジで、「クオーター打法」と呼ぶ打ち方で40~70ヤードの距離を打ち分けられるようにします。というのは、ロングアプローチを失敗するパターンは距離とスイングの関係を把握していないことが多いからです。

──その距離はうまくヒットできても、グリーンに届かなかったり、オーバーしたりといったことは多いですよね。また、その範囲ではダフリ・トップを犯す苦手な距離もあります。

吉本 確かにアマチュアの人に多いですよね。距離と振り幅の関係と、得意・不得意な距離を把握することが大事なのです。まず、アプローチウエッジでフルスイングします。10球打てばわかりますが、距離にバラツキが出ます。これはプロでも毎回同じ距離に打つことが難しく、プロでもフルスイングはしません。それなのに、アマチュアは平気でフルスイングしてミスを犯す。ですから、まずは「ロングアプローチはフルスイングしない」を徹底しましょう。

──確かにウエッジでも最大距離を打とうとしてミスしますね。

吉本 その通りで、最大飛距離を求めることはアイアンでもやらない。それは実はドライバーでもそうですし、アプローチならなおさらです。方向と距離感が最も大事なショットになりますので。そこで、フルスイングを4分の1ずつのクオーターに分割し、4分の3のスリークオーター、4分の2のハーフ、4分の1のクオータースイングでアプローチショットを打ちます。

──「クオーター打法」と名付けられた理由がわかりました。そして、アプローチでは最大でもスリークオータースイングにすることなのですね。

吉本 そうです。目安としては、スリークオーターは10時~2時、ハーフが9時~3時、クオーターが8時~4時というわけです。バックスイングでは左腕、フォローでは右腕の位置です。このスイング幅に比例して、グリップを握る場所とスタンス幅を変えていきます。(1)クオーターの場合、グリップは4分の1と短く持ち、スタンス幅は両足の間に足が1つ~1つ半入る狭いものにします。(2)ハーフの場合、グリップは真ん中、スタンス幅は両足の間に足が2つ~2つ半。クオータースイングの場合、グリップは4分の3、スタンス幅は両足の間に足が3つ~3つ半入る幅にします。

AWでスリークオーターは10時~2時のスイングで60ヤードが目安
ハーフは9時~3時のスイングで40ヤードが目安
クオーターは8時~4時のスイングで20ヤードが目安

──私の場合、これまでグリップ位置や振り幅は変えるけれど、スタンス幅は一緒だった気がします。

吉本 多くのアマチュアはグリップ位置も一緒ですね。でも、それがミスを生む原因になります。距離に応じて、常にスイング幅、グリップ位置、スタンス幅の3つをセットにして変化させる。これを成功の秘訣と心得てください。そして、この3つの変化でボールを打つと、目安の距離として、クオーターで20ヤード、ハーフで40ヤード、スリークオーターで60ヤードになります。ウエッジの重量やロフトによっても変わりますが。

──「小文字y打法」のようにあくまで目安であって、スイング幅はきっちり何時~何時としなくてもよいのですよね。その人がイメージする10時~2時とかで。

吉本 その通りです。では、ここでロングアプローチのアドレスと打ち方のポイントをまとめておきます。まず、アドレスのポイントです。(1)スクエアスタンス。(2)スクエアフェース。(3)腰の位置はセンター。(4)ボール位置は体の正面。(5)手の位置は少しだけセンターよりも左のハンドファースト。ショートアプローチの「小文字y」ほどハンドファーストにはしません。(6)上半身の軸は少しだけ右に傾けます。

──少しだけ、ボールを右から見る感じですね。

吉本 そうです。そのほうが打ち込まなくなるのできれいにヒットできますね。そして、アドレスができたら打ち方です。(1)スイング中、右に傾けた上半身の軸を維持する。(2)手首を無理に使わない。(3)無理に下半身を使わない。(4)バックスイングとフォロースルーの大きさを同じにするイメージ。(5)ダウンスイングで無理に加速しない。(6)インパクトはボールの赤道の下部、「ゴールデンアングル」からヘッドを入れる。上から打ち込まず、レベルブローのイメージで打つということです。

──ロングアプローチのアドレスはグリーン周りのショートアプローチとは腰の位置とハンドファーストの具合が違いますが、あとは打ち方を含めてほとんど一緒ですね。

吉本 その通りで、難しいことは何もありません。やるべきことは、クオーター、ハーフ、スリークオーターの3つの振り幅とそれぞれのグリップ位置、スタンス幅にして、自分が何ヤードの飛距離になるのかを把握することです、実際にそれぞれ10球ずつ打って、平均飛距離を出します。それが実践で使える自分の距離になります。では、やってみましょう。

──吉本プロがやると、3つの振り幅で距離がしっかり分かれますね。うまく打てているだけでなく、20、40、60ヤードになります。

吉本 その中間の距離、30ヤードならクオーターとハーフの中間の振り幅、50ヤードならハーフとスリークオーターの中間の振り幅で打てばよいわけです。70ヤードはスリークオーターとフルスイングの間になります。とはいえ、アマチュアはうまく打てる振り幅と打ちにくい振り幅が出ると思います。やってみてください。

──言われてみてやってみると、私の52度のアプローチウエッジでは、クオーターが25ヤード、ハーフが45ヤード、スリークオーターが65ヤードの距離になりました。自分のイメージよりちょっとだけ振り幅が大きいのかもしれません。とはいえ、いずれも打ちにくい距離はありませんでした。でも頑張って70ヤードや80ヤードを打とうとするとうまくいかない。どうすればいいですかね。

吉本 48度やピッチングウエッジを使って、スリークオーターで打ってみてはどうでしょう。また、3つの振り幅の中間を打つ場合にうまくいかなければ、クラブを替えてみることです。自分の好きな振り幅があると思いますので。

──確かにそうですね。50ヤードが打ちにくかったです。

吉本 それで構わないのです。アプローチウエッジで48度も入れ、それ以外にピッチングウエッジや、サンドウエッジでも同じように3つの振り幅で打って、その飛距離と打ちやすいか否かを把握しておけばよいのです。それで最もうまく打てるクラブとスイング幅で、打たなければならない距離を打っていく。それを忘れないようにチャートにしておき、実践で行う。それがアプローチを成功させる秘訣です。

──なるほど。チャートにしておけば、ミスをしないクラブと振り幅で勝負できるのですね。それなら、70ヤード以内でも1ピンや1メートル以内にも寄せることができる気がします。そうなったらスコアは確実に縮まりますね。

吉本 これは練習を積まなくても成功させられるとっておきの方法です。何でアプローチがうまくいかないのか、それは打ち方ではなく、苦手なクラブと苦手な振り幅で打っていたからということも多いのです。ショートアプローチの「小文字y打法」とロングアプローチの「クオーター打法」を組み合わせ、さらに好きな振り幅とクラブを用いて、10ヤード刻みでうまく打てるものをチャートにしておく。そうすれば、どこからでもうまく寄せられるようになります。

(次回は8月29日に掲載予定。文:本條強、協力:越生ゴルフクラブ)

 よしもと・たくみ 1980年8月27日、兵庫県生まれ。14歳のときに米国へ渡り、ゴルフアカデミーでゴルフを一から覚える。すぐに上達し、ジュニア日本代表や米フロリダ代表に選ばれる。南フロリダ大学のゴルフ部に特待生として在籍し、活躍後、ミニツアーで3勝を挙げる。その後、帰国し、インストラクターに。現在、銀座ゴルフアカデミー主幹(http://ginza-ga.com/)。
書斎のゴルフ」は、国内唯一の「読むゴルフ誌」として異彩を放ってきました。これからもゴルフの奥深さを味わい、真にゴルフを上達したいと願う読者の方々に向け、ゴルフの本質や神髄に迫る記事を中心にお届けしてまいります。定期購読はこちらへ。https://www.fujisan.co.jp/product/1281683064/

書斎のゴルフ VOL.43 奇跡を呼ぶ寄せとパット (日経ムック)

出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)

中部銀次郎 ゴルフの要諦 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 本條 強
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 810円 (税込み)

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