「逃げろ」響く叫び声 銃を構えて、男侵入
【エルパソ=共同】「発砲だ」「早く逃げろ」。米南部テキサス州エルパソで3日起きた銃乱射。子どもを連れた家族らでにぎわっていた週末の大型商業施設は事件で一転、パニック状態で逃げたり、助けを求めたりする人々の叫び声が響き、騒然となった。
米メディアによると、事件は午前11時前に発生。黒い半袖のシャツにヘッドホンのようなもので耳を覆った男が、銃を両手で構えて施設に侵入した。
「母が『逃げろ』と叫んだ」。母親と息子と一緒に食料品を買いに来た住民の女性(37)は施設の駐車場に入った際に、花火のような音がさく裂。乱射した男も目撃し「手当たり次第に撃っていた」。
「子どもの学用品を買うために家族と来た。こんなことが起きるなんて」。現場はメキシコ北部シウダフアレスとの国境からわずか数キロ。ヒスパニック(中南米系)の男性がスペイン語を交えながら訴え、恐怖におののいていた。

ソーシャルメディア上では、数人が駐車場で血を流して倒れている映像も流れた。事件が起きた施設内のスーパー、ウォルマートからは従業員らが表情をこわばらせながら屋外に避難。男性従業員(40)は休憩中で助かったが「友達は撃たれた」とショックを受けた様子。
「テキサス史上、最悪な日の一つだ」。記者会見でアボット州知事は声を落とした。
夜、エルパソの教会で開かれた犠牲者を追悼する集会に参加した教師セリーナ・アリアスさん(44)は「犠牲者の家族の心の痛みは想像に絶する」と嘆いた。現場近くは4日になっても多くの警官が警戒に当たり、物々しい雰囲気に包まれていた。