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20歳渋野メジャーV 日本の「黄金世代」世界のみ込む

日本人2人目の海外メジャー制覇を果たした渋野日向子=ロイター

プロ初優勝を今春5月の国内メジャー、ワールド・サロンパス杯で飾った渋野日向子(20)が夏にはついに海外メジャー、AIG全英女子オープンの頂にまで駆け上がった。日本の女子ゴルフ界を席巻する1998年度生まれの「黄金世代」が一気に世界をのみ込む勢いだ。

今年の全英女子には黄金世代が3人出場。既に日米両ツアーで計6勝と世代を引っ張る畑岡奈紗、2014年に15歳のアマチュアでツアー初優勝を遂げるなど日本で4勝を挙げている勝みなみ、そして渋野だ。

渋野は今季初優勝を挙げた河本結、原英莉花と同じく昨年のプロテストに合格して今季が実質プロルーキーイヤー。畑岡、勝といった昨年までに優勝を経験した黄金世代の「第1波」に追い付け追い越せで押し寄せた「第2波」の到来といえよう。

彗星(すいせい)のごとく降臨したスター、宮里藍のプロ転向が03年秋。プロ石川遼の誕生が08年1月。日本ゴルフ協会(JGA)のジュニア選手登録数をみると、1990年代後半は約5000人で8割を男子が占めていたが、石川の登場したあたりから1万人を超え、女子比率も上がって4割強を占めるに至っている。

長期にわたる景気低迷期にあって、小学生になったばかりの我が子、我が娘がプロゴルファーになるのを夢見て、親がせっせと投資することでこのような分厚い選手層が生まれた。黄金世代の2学年下には、初出場だった全英女子を4日間戦い抜き、前週のエビアン選手権でローアマを獲得した18歳、安田祐香(大手前大)を中心に2000年度生まれの「ミレニアム世代」が控えている。1977年全米女子プロを制した樋口久子以来となった渋野のメジャー制覇だが、3人目の日本人制覇までは再び40年もの空白期間が生じることはないのではないか。

爆発的スコアを生む原動力はグリーン上の勝負強さだ=ロイター

今回の全英女子に出た黄金世代の3人の中で最もいい流れ、上り調子で大会を迎えたのが渋野だった。直近の日本ツアーでオーバーパーなしを18ラウンド連続として渡英。平均パット数が今季ツアー3位と、爆発的スコアを生む原動力はグリーン上の勝負強さだ。本人は「原因不明」と笑い飛ばす、バウンスバック率1位の数値が今季の躍進のすべてを物語る。バウンスバック率とはボギー以上を打ったホールの直後にバーディー以下を取り返す率を指す。この日も3番で4パットのダブルボギーが出ても、へこたれず盛り返し、12番パー4では果敢に1オン、最終18番は5メートルを「入れるか3パットか」の強気で沈めて勝負を決めた。

5月のサロンパス杯を制するまでの流れが、全英女子制覇に向かう流れと面白いほどよく似ている。その3週前のKKT杯バンテリンの初日に今季ワーストの81とした渋野は2日目に66をマークしてよみがえり、サロンパス杯で勝つまでの12ラウンドをアンダーパーで回り続けた。

渋野が今季勝利を挙げた茨城GCは上田治、戸塚CCは井上誠一と、いずれも日本を代表する名匠が設計したコース。初の海外とはいえ、全英女子開催コースのウォバーンGCはリンクスとは違う林間コースだったのも幸いした。「日本みたいでやりやすい」。意識過剰になることなく、天衣無縫の笑顔で挑んだ20歳が晴れてメジャー戴冠だ。

(編集委員 串田孝義)

渋野 日向子(しぶの・ひなこ)両親は陸上の投てき選手。8歳でゴルフを始めた。ソフトボールにも没頭し、中学2年まで軟式野球部に所属。その後はゴルフに専念し岡山・作陽高で全国高校選手権団体優勝。18年夏にプロテストに合格し、今年5月のワールド・サロンパス・カップで初優勝。7月に2勝目を挙げた。165センチ、62キロ。20歳。岡山県出身。〔共同〕

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