せかい旬景 変貌するカジノの街(マカオ)

コラム(国際)
2019/8/17 2:00
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故ザハ・ハディド氏が設計したメルコリゾーツ&エンターテインメントのホテル「モーフィアス」(マカオ)

故ザハ・ハディド氏が設計したメルコリゾーツ&エンターテインメントのホテル「モーフィアス」(マカオ)

「東洋のラスベガス」と称され、カジノホテルが乱立する中国のマカオ特別行政区。マカオは、16世紀に到来したポルトガルが築いた歴史的な建造物が残る「マカオ半島地区」と、統合型リゾート(IR)の建設ラッシュで急速に発展した埋め立て地「コタイ地区」に大別される。マカオ半島側には老舗カジノ、コタイ地区には新興IRが並び、それぞれ違う街の雰囲気を味わうことが可能だ。

コタイ地区で2018年にオープンした「モーフィアス」

コタイ地区で2018年にオープンした「モーフィアス」

コタイ地区で複数のカジノホテルを運営するメルコリゾーツ&エンターテインメントのIR施設「シティ・オブ・ドリームス(COD)」。敷地内に2018年にオープンした高級ホテル「モーフィアス」は、新国立競技場のデザインが白紙撤回されたことで話題になった女性建築家の故ザハ・ハディド氏が設計。ホテルロビーは吹き抜けとなっており、見上げると天井まで張り巡らされた有機的な曲線の構造物が降ってきそうだ。最上級のスイートは約17万円からで、連日ほぼ満室だという。せめて普通の部屋に泊まってみようかと思ったが、出張予算オーバーで諦めた。

人気のショー「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は大量の水を使う

人気のショー「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は大量の水を使う

「ジェード・ドラゴン」の看板料理の「ハトのヒナの丸揚げ」

「ジェード・ドラゴン」の看板料理の「ハトのヒナの丸揚げ」

続いてCODの目玉のショー「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」を観賞した。五輪で使用するプールの5倍の水量を使い、舞台全面が水で覆われた次の瞬間に水が引くなど最新鋭のテクノロジーで制御された約90分のショーだ。中国本土からのツアー客の歓声に包まれながらシャッターを切った。

CODにはフランス料理から中華料理まで高級レストランが入る。ミシュラン三つ星を獲得した高級中華料理店「ジェード・ドラゴン」の欧陽文彦料理長が作る料理は、繊細さと豪快さを兼ね備えたオリジナリティーあふれた品々だ。「ぜひ食べてほしい」と出された看板料理は「ハトのヒナの丸揚げ」(約2500円)。生後3週間のヒナにかじりついたところ、大量の脂が流れだし、手と口がベトベトになった。

「スタジオ・シティ」は施設内にさまざまな遊具施設を備える

「スタジオ・シティ」は施設内にさまざまな遊具施設を備える

隣接するIR「スタジオ・シティ」は子供向けのアミューズメント施設も多く入居する。遊園地も顔負けの仮想現実(VR)の体感ゲームで遊ぶ子供の姿を見ると、ギャンブルの街であることを忘れそうになるが、通路の奥は広大なカジノ施設へと続く。マカオ全域でカジノ内の撮影は厳禁だ。ここでは入り口の撮影のみ許可されたものの、積極的にギャンブルのイメージをアピールしたくないカジノ産業の思惑を感じた。

「ホテル・リスボア」など老舗ホテルが集まるマカオ半島のカジノ地区

「ホテル・リスボア」など老舗ホテルが集まるマカオ半島のカジノ地区

一方のマカオ半島のカジノ街。中心部に建つ老舗カジノホテル「ホテル・リスボア」はカジノ王、スタンレー・ホーらが1970年代に建設した。宿泊費も手ごろだったことから泊まってみることにした。ホテル内部は改築に次ぐ改築で迷路のようだ。部屋は少しかび臭いが十分な広さで、古めかしくも頑丈な家具などを見るにつけ、かつて超高級ホテルだった名残を感じる。洗練された最新のホテルも快適だが、老舗ホテルのレトロな雰囲気もカジノの街との相性が良い気もする。

老舗ホテル「ホテル・リスボア」の部屋はレトロな調度品がそろう

老舗ホテル「ホテル・リスボア」の部屋はレトロな調度品がそろう

ホテル周辺のきらびやかなネオンはコタイ地区と同じだが、カジノで勝ったカネをあてにした宝石店や両替店など、個人商店が軒を連ねている。一獲千金をもくろむ人々の欲望がそのまま渦巻く歓楽街だ。

マカオ半島のカジノ周辺は、鮮やかなネオンの看板が立ち並ぶ

マカオ半島のカジノ周辺は、鮮やかなネオンの看板が立ち並ぶ

マカオ半島は南北でわずか約4キロだが、カジノホテルは南部の一部に集中しており、そのほかの地域には歴史的な建築やマカオ住民の居住区が広がる。世界文化遺産に登録された2005年以降、富裕層の中国人が増えたこともあり観光客が激増。中でも人気の観光地、聖ポール天主堂跡周辺は大勢の人で歩けないほどだ。観光需要の増加は不動産価格の高騰をもたらし、地元住民の反発も顕在化しているという。

レトロなマカオ半島のカジノホテルか、近未来的なコタイ地区のIRか。どちらを選ぶかはその人次第。ただカジノの遊び方を知らずに、テーブル間を歩き回るだけだった筆者がマカオを語るのは百年早い……。

(NAR編集部 小林健)

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