2019年9月16日(月)

お盆休み、渋滞予測士「外れるのが理想」 西日本高速
匠と巧

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/8/5 7:01
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お盆の時期は関西各地で高速道路の大渋滞が見込まれる。過去のデータを基に、半年ほど前から予想しているのが西日本高速道路(NEXCO西日本)の「渋滞予測士」たち。横尾俊宏さん(35)は5人いる予測士のまとめ役だが、意外にも「外れるのが理想」という。その理由は――。

過去のデータや地図などをもとに渋滞の発生時間や場所、規模を予測する=目良友樹撮影

過去のデータや地図などをもとに渋滞の発生時間や場所、規模を予測する=目良友樹撮影

横尾さんが予測で最も参考にするのは過去の渋滞状況。曜日や休日の並びが近い年は人の動きも似ており、数年分を分析する。今年のお盆の予想では5年分、延べ1500カ所の渋滞データを検討した。

今年の場合、お盆の8月13~15日は火~木曜日。10~11日が土日、12日の月曜は「山の日」の振り替え休日のため、13~15日に仕事を休んで6連休とする人が多いとみられる。

直近で曜日の配列が全く同じだったのは2013年。ただし、山の日はまだなく、お盆前は連休でなかった。18年は曜日の配列は1日ずれるが、お盆直前が土日で5連休の人が多かったので参考になるという。

高速道の舗装の下には「トラフィックカウンター」という機器が埋まっており、通過した車の速度や台数を記録する。この機器などで集めた過去の膨大な記録から、曜日や休日の並びが似た数年分について、渋滞(時速40キロの車列が長さ1キロ以上かつ15分以上続く状態)のデータを抜き出すのが仕事の第一歩だ。

次にそれぞれの年の渋滞地点や発生日時を比べる。いつも渋滞が起きる場所は、今年も混雑する可能性が高いと分かる。例えば下り坂から上り坂にさしかかる「サグ」と呼ばれる地点は、無意識の速度低下で混みやすい。トンネル入り口や合流部分も同様だ。一方、雨、工事による通行止め、故障車の発生など一時的な理由による渋滞もある。こうしたケースは特異事例として予測から外す。

路線の延伸などで交通量が変化することもあるが、直近の変化は過去の記録から読み取るのが難しい。横尾さんは駆け出しの頃、「20キロ」と予測した渋滞が実際は40キロになってしまった失敗があるという。

そこで役立つのが「ここが最近渋滞している」という現場社員からの情報。休日に自らハンドルを握り、気になる地点の混雑を確認することもあるという。

横尾さんは大学院で交通工学を研究した経験などを買われ渋滞予測の担当に。九州で経験を積み、6月から本社で西日本の分析のまとめ役をしている。「過去に大きな渋滞がなかった場所の混雑を予想できたとき、やりがいを感じる」と話す。

横尾さんたちが半年間かけて作り上げたお盆の混雑予想はNEXCO西日本のホームページ(HP)で見られる。日時や出発地、目的地などを入力すれば、渋滞を加味した所要時間を事前に確認できる。「HPを見て混雑を避けて出発する人が多ければ、思ったほどの渋滞は起きず、結果的に私たちの予測は外れる。本当はそれが理想です」。横尾さんはほほ笑んだ。

(覧具雄人)

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