社会保障給付費1・6%増の120兆円 介護伸び大きく
国立社会保障・人口問題研究所は2日、年金や医療、介護などの社会保障給付費が2017年度に120兆2443億円となり、前年度と比べて1.6%増えたと発表した。介護給付費の伸びが大きくなったことに加え、子育て支援策の充実で公費支出が増えたことが背景だ。給付費は過去最高を更新し続けている。
社会保障給付費は税金や社会保険料などを財源にした給付の合計額。高齢化の進展などにより今後も増加が見込まれる。
17年度の給付費の伸び率は前年度の1.3%を上回った。給付費の内訳は医療が39.4兆円(前年度比1.6%増)、年金が54.8兆円(0.8%増)、介護など「福祉その他」は25.9兆円(3.1%増)だった。
伸びが大きかったのは「福祉その他」のうち「介護対策」。伸び率は4.1%で、前年度より2ポイント上回った。介護職員の処遇改善に充てるため介護サービスの価格の基準となる介護報酬を臨時で引き上げたためだ。高齢化に伴い医療と年金の増加率も前年度を上回った。
国内総生産(GDP)に占める給付費の割合は21.97%と0.09ポイント下落した。GDPの成長率が給付費の増加率を上回ったため。09年度以降は20%を超える水準が続いている。
社会保険料や公費などの収入は3.7%増え、141兆5693億円だった。公的年金の積立金の運用が好調で資産収入が増えた。
今回、国立社会保障・人口問題研究所は統計に用いるデータを見直し、15年度まで遡及改定した。