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KDDIが1日発表した2019年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比9%減の1625億円だった。4~6月期の減益は7年ぶり。楽天が今秋予定する携帯事業参入や携帯端末販売の制度変更をにらみ、通信事業で顧客を囲い込むための費用を積み増した。金融・決済やコンテンツ配信など非通信事業は好調だったが補えなかった。
売上高は2%増の1兆2461億円だった。携帯電話サービス「au」を中心とした個人向け事業は3%の増収だった。通信事業ではスマートフォンの新規利用者が増えた。コンテンツ配信や決済サービスの利用者拡大などで非通信事業も伸びた。
営業利益は11%減の2558億円だった。端末販売コストの増加が176億円の営業減益要因となった。特に「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話からスマホへの移行を促すための販促活動を強化し、端末の値引きコストなどが膨らんだ。端末の販売台数は195万台と5%増加した。
このほか、海外事業で決算期を変更した影響や一部の携帯端末で評価損を計上した。「一時的な要因が、営業利益を約220億円押し下げた」(KDDI)という。
同日の決算会見でKDDIの高橋誠社長は「制度変更などにより下期は消費者の(端末購入や契約変更などの)動きが鈍くなる。上期にある程度コストをかけて顧客を獲得する」と述べた。
今秋施行する携帯電話料金の新ルールでは通信料金と携帯端末のセット値引きが禁止される。総務省は通信大手の端末値引き額の上限を2万円とするルールも示している。大幅な値引きが難しくなり、携帯端末の販売が減速する可能性がある。
調査会社のMM総研(東京・港)によると、近年、3400万~3700万台で推移していた携帯端末の出荷台数は法改正の影響で19年度は前年度比11%減の3075万台に落ちる見通し。通信各社は端末販売や顧客獲得の減速懸念が強まる秋口に入る前に販促関連の費用を投入している。
20年3月期通期の業績見通しは据え置いた。売上高は前期比で2%増の5兆2000億円、純利益は微増の6200億円を見込む。高橋社長は「非通信事業の利益拡大や通信事業のコスト抑制などで通期の増益は十分達成できる」と強調した。