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「利下げ、長期的ではない」 FRB議長会見要旨

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7月31日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見した。発言の要旨は以下の通り。

記者会見に臨む米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長(7月31日)=ロイター

「政策金利を0.25%引き下げ2.00~2.25%にした。米経済の見通しは望ましい状態だが、この見通しを支えるためだ。世界景気の減速と貿易政策の先行き不透明感からくる下振れリスクへの備えとなることを意図している。リスクが景気に悪影響を与えることを相殺し、2%の物価上昇へ早く戻ることを促す面もある。FRBの保有資産の圧縮の終了を当初予定した9月から8月へと早めることも決めた」

「米国の雇用は堅調で、個人消費は景気拡大の原動力になっている。だが、年明け以降、世界景気の減速や貿易を巡る不確実性、物価上昇の鈍化によって、政策金利の評価を調整する必要性が生まれた。FOMCは当初年内の利上げを見込んでいたが、様子見する姿勢に転じ、さらに今日の利下げにいたった」

「物価は鈍化が続いている。賃金は上昇しているが、物価上昇圧力を高めるほどのぺースではない。2%の物価上昇へ戻ることが遅れる状況が続き、長期的な予想物価上昇率が再び上昇しづらくなることを警戒している。今後の政策金利を検討する際、今後発表される経済指標が示唆するものを点検することを続けていく。強い雇用と2%の物価上昇のもとで景気拡大が続けられるよう、適切に行動していく」

――物価上昇率を2%へ戻すのに0.25%の利下げで十分か。

「0.25%の利下げだけでなく、FOMCの過去1年の対応を見る必要がある。我々は当初利上げを想定していたが、数カ月間、様子見する姿勢に転じ、今回利下げにいたった。より緩和的な政策へと移るにつれ、経済は順調に推移し、望ましい見通しが維持された。今回の利下げは、下振れリスクへの対応と経済や物価上昇を支えるために実施した緩和的な姿勢への調整だと考えている。サイクルの半ばでの調整だ」

――「サイクルの半ばでの調整」とは。

「過去にFOMCが(金融政策の)サイクルの半ばで利下げしたときのことを言及している。長期的な利下げのサイクルの始まりと比べている」

――長期的な利下げサイクルの始まりではないということか。

「それはいまの私たちの見解ではない」

――今回の1回の利下げで一時停止する状況はあるのか。

「私たちの方針は経済見通しに対するデータと見通しのリスクに左右される。現在の状況と見通しを見てみると、やや緩和的な立場に政策を調整することが適切であるとわかった。今後の政策決定のために、リスクや米経済の状態、物価上昇率について入ってくるデータを見ていく」

――「今回が一連の利下げサイクルの始まりではない」と述べたが、市場は追加利下げを織り込んでいる。こうした予想を打ち消したいのか。

「はっきりしたいのは、私が言ったのは今回の利下げが長いサイクルの始まりではないということだ。(利下げが)1回だけなどとは言っていない。利下げサイクルというと通常長く継続することを想定するが、我々はそれは考えていない。長期的な利下げは、経済が本当に弱く大幅な利下げが必要と考えられる場合だ。我々は、やや緩和的な政策に次第に調整することが適切と考えている。長期的な利下げサイクルと言ったのは、景気後退や非常に厳しい経済停滞があるときにとる措置のことを言及している」

――今後の金利の指針を示すのをためらっているように聞こえる。FOMCのなかでの総意が欠けているのか。

「たしかにさまざまな見方があるが、最善の政策判断をしていくという点では一致している。声明で示しているのが今後の方針で、データ本位で進める。経済成長を持続させるために必要だと考えることを実施する」

――データ重視から予防的な利下げへと転換したのか。今後のFRBの動きをどうやって読み取ればいいのか。

「我々は世界的な貿易摩擦という問題に直面したことがなく、学びながら行動をとっている。貿易摩擦は、経済や金融市場に重要な影響を与えており、世界の経済成長の減速への対応とは異なる」

――市場の期待に左右されていると感じているか。

「本日の決定は、我々が行うと述べてきたことと一致している。金融政策は市場との対話と、その対話と一致する行動を通じて機能すると考えている。我々が今年実施した変化はうまくいっていると思う。我々は常に、経済データと進展するリスク情勢を考慮して、対話と行動を調整する柔軟性を持っている」

――将来の利下げ余地が小さくなるのではないか。

「長い米国の景気サイクルにおいては、FRBが利上げを中断し、利下げし、さらに利上げするようなことも時々ある。今回そうなるかどうかはわからない。数回の利上げ、利下げはそれほど重要ではない。景気後退が来たときには、必要に応じて積極的に政策手段を使うだろう」

――トランプ米大統領は繰り返し、この利下げと資産縮小を終わらせるよう求めており、トランプ氏の望み通りに行動したとみる人がいる。

「利下げは世界の経済成長の弱まりと貿易戦争による下振れリスクの悪影響を相殺し、2%の物価目標へと早くたどり着くことを目的としている。我々は徐々に緩和の方向に政策を動かしてきた。決して政治的な配慮は入れず、そうした議論もしなかった。我々はFRBの独立性を証明するためにではなく、目標にできるだけ近づくために金融政策を実行する。資産縮小を早めたのは、本当に単純さと一貫性の問題だけだった。それ以上の理由はない」

――米中貿易摩擦は利下げの判断にどの程度影響したのか。

「私たちは一つの要因を取り出すことはしない。関税の直接的な影響は米経済との関連では大きくない。問題はそれが企業の景況感を通じてどのように影響するかで正確に引き出すのは難しい」

――米国内の需要に問題はない。利下げにどのような効果があるのか。

「私たちが注視しているのは世界経済の成長鈍化による下振れリスクだ。製造業は特に欧州と中国で弱く、貿易政策は時々混乱をもたらしている。これらは経済見通しへの脅威であり、今回の利下げは望ましい見通しを維持するためのものだ。利下げは経済活動や家計や企業の信頼感を支え、借り入れコストも下がる」

――12月の利上げや利下げの遅れがビジネス面での弱さにつながった可能性はあるか。

「政策金利が高すぎるから企業が投資をしていないということは聞いていない。我々が聞いているのは、製品に対する需要が世界的に弱く、設備投資も弱いということだ。すべてを貿易摩擦のせいにしているわけではない。製造業や投資においては世界的なビジネスサイクルもある。世界の経済成長は昨年の半ばに減速し始めたが、予想より長引いている」

――金融の安定性についてどう考えるか。

「金融の安定化の懸念は真剣に考えている。だが、その懸念が本日の利下げの理由と考えていない。我々は金融安定化の枠組みを持っている。家計や企業の借り入れはやっかいなほど高いレベルではない。全体的な財務の脆弱性は中程度だ」

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