排気筒解体へ 福島第1原発で着手、初日は7時間遅れ

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科学&新技術
2019/8/1 18:02
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ロボットアームを装備した重さ約20トンの解体装置が、ゆっくりと宙を旋回――。

ロボットアームを持つ解体装置を排気筒上部にクレーンで取り付ける=東京電力提供

東京電力は1日、福島第1原子力発電所の1、2号機の排気筒を解体する工事に着手した。水素爆発の影響で破損し倒壊の恐れがあった。作業員の被曝(ひばく)を避けるため、作業は遠隔操作だ。初日の作業は7時間近く遅れて始まり、工程の険しさを予言しているかのようだ。

排気筒は高さが120メートルある。2011年の東日本大震災での事故時に原子炉を覆う格納容器内の圧力を下げるベント(排気)に使った。冷却水を循環させる電源を失い、上昇する原子炉格納容器内の圧力を低下させるためだった。

結局、水素爆発を起こし、その影響で一部が損傷していた。大きな地震が発生すれば、倒壊する恐れがあり、解体することになった。およそ半年をかけて半分程度にする。周辺の放射線量は高く、人が近づいて長時間作業するのは難しいため、遠隔操作に頼らざるを得ない。

福島県大熊町の建設会社、エイブルが解体作業を請け負う。クレーンでつるした解体装置を排気筒の上部に設置し、上部から順番に切断する。排気筒から約200メートル離れた高台に配備した大型バスの中から遠隔で作業を進める。

まず装置を設置するため、1日早朝に作業を始めた。ところが通信のトラブルですぐに中断し、午後1時前にようやく再開した。その後も風の影響で持ち上げた装置が揺れ、排気筒の上部になかなか固定できなかった。

1日は排気筒まわりの電線管などを切る作業をする予定だったが、一部を2日に持ち越した。2日以降に排気筒本体の解体を始める見通しだ。

この解体作業は当初、3月に始める予定だった。しかし安全対策を追加するため5月に延期した。クレーンの高さが足りない事態も明らかになり、さらに遅れた。「19年中」としていた作業の完了は「19年度中」へと少しずれ込む可能性がある。

遠隔操作という難しさに加え、海岸沿いならではの強風という気象条件も作業の進み具合を左右する。福島第1原発の磯貝智彦所長は「安全第一に着実に作業を進めていきたい」と強調した。

(科学技術部 福岡幸太郎)

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