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見えた本番の戦い方…星奈津美(競泳)

東京五輪の前哨戦となる水泳の世界選手権が7月28日、閉幕した。日本競泳陣は6個のメダルを獲得。女子や若手の元気の無さは気になったが、エースの瀬戸大也(ANA)を中心に男子の勢いが際立つ大会だった。

7月の水泳世界選手権は瀬戸大也を中心に男子の勢いが際立つ大会だった=共同

個人メドレー2冠、200メートルバタフライ銀の瀬戸は、今季は「前半から攻める」レースを徹底し、1年かけてほぼ完璧に仕上げてきた。最終日の400メートル個人メドレー決勝は疲労で終盤失速したが、東京五輪で同種目は競技1、2日目に行われる。好記録での金メダルも十分狙えるだろう。

さらに出色だったのが200メートル個人メドレー決勝だ。以前なら2泳法目の背泳ぎで失速していたが、今回は最初のバタフライの勢いで背泳ぎも飛ばし、100メートルターンで先頭をいった。この勇気ある泳ぎでほぼ勝負ありだったといえる。

前回大会覇者のチェース・ケイリシュ(米国)の不振、ライバルの萩野公介が不在ということももあって、瀬戸本人は「ラッキーな金メダル」とも表現していたが、そうは思わない。これまでの世界大会で経験のない攻めきる戦略を完遂したのは大きな価値がある。1年前の五輪内定も4年前に経験済み。メリットとデメリットを知り尽くすからこそ、アドバンテージにできるだろう。

同じように攻めの泳ぎを遂行したのが男子200メートル平泳ぎ銅の渡辺一平(トヨタ自動車)。4月の日本選手権より調子は良くなかったようだが、これまでの攻めの姿勢を貫いてシーズンベスト、しかも世界記録にほぼ近いタイムを出したところに彼の成長を感じた。

優勝したアントン・チュプコフ(ロシア)は来夏も終盤にまくる戦法を取るだろう。それなら今後渡辺のやるべきことは、どれだけ相手に差をつけて逃げ切るか、ということだけだ。世界記録を塗り替えられてチャレンジャーに変わったことも、追われる立場で居続けるよりやりやすいはず。結果自体は悔しいだろうが、1年前としては好内容だったのではないか。

海外勢に目を向けると、予選から好記録で泳ぎ、準決勝で早くも世界記録を出す選手が相次いだ。これは午前に決勝が実施される東京五輪を見据えた戦い方ではないかと感じた。日本も朝の練習メニューをより厳しいものに変えるのはもちろん、日ごろの大会で予選から全力で泳ぐなど、より本番を意識しながら残り1年を過ごす必要があるだろう。

ほし・なつみ 1990年埼玉県越谷市生まれ。五輪は2008年北京大会から3大会連続で出場し、12年ロンドン、16年リオデジャネイロで200メートルバタフライ連続銅メダル。現在は解説者などとして活動中。

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