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オリックス、価格変動チケット AIで値ごろ感

オリックスが7月16日に本拠地の京セラドーム大阪で行われた楽天戦で、チケットの価格変動制を試行した。人工知能(AI)が天候やチームの勝敗、過去の同時期の販売データを基に「適正価格」を算出。この仕組み自体は既に取り入れている球団もあるが、今回は全席種を対象に日々、1円単位で価格が動く「球界初」(球団関係者)の試みとして注目された。

ファンクラブ会員向けに5月後半、一般向けには6月1日に前売りを開始。1200円で販売が始まった内野自由席(大人)は同月3日に1954円に上昇した後、5日には1489円に下落するなど、細かく上下動を繰り返した。

6月13日にオリックスがサヨナラ勝ちすると、翌14日はグラウンドにせり出した「大商大シートA」の一塁側後方席が1万2081円と、前日より千円超上昇。ただ、他の多くの席種は値下がりしており、AIが勝敗以外の要素も重視して値決めしたことがうかがえる。

例年、オールスター戦(今年は7月12、13日)と学校の夏休み開始日に挟まれた時期は客足が鈍る。そこで、三井物産やヤフーが共同出資するダイナミックプラス(東京・千代田)の算出技術を使って価格を動かし、収入にどのような変化が出るかをみるのが今回の狙いだった。

球団によると、価格変動制を実施した7月16日は、価格を固定した翌17日の同じ楽天戦に比べて売れたチケットの平均価格が2%低かったが、チケット総収入は14%多かった。入場者数が2万2098人と17日より約700人少なかったにもかかわらず収入が多かった要因を、オリックスの山本康司チケットグループ長は「もともと自由席回数券を持つ人が、付加価値が高く、値段が下がったチケットにひかれて改めて買ったケースが多かったのでは」と説明する。

4500円の席が1600円前後まで下がった

例えば、ビールやチューハイの飲み放題特典が付いたバックネット裏後方の「ビュー指定席」。4500円で始まった価格は一時、1600円前後まで下がった。ほかにも価格が下がった飲み放題付き券が多く、かなりの枚数が売れたという。

多くの席種で購入者が値ごろ感を覚え、量をさばきにいくAIの「戦略」が奏功して球団のチケット収入は高水準に。「ウィンウィン」の結果が出たことに、山本さんは「いいトライアルだった」と振り返る。

株価のように日々、チケット価格が動く仕組みはファンの関心を呼んだだろう。詳細な分析を通じて実効性の高さが裏付けられれば、「来年も価格変動制を実施したい」と山本さんは話している。

(合六謙二)

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