トランプ氏「パウエル氏に失望」 利下げもなお不満

2019/8/1 6:09
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トランプ米大統領はFRBへの「口撃」を続けてきた=ロイター

トランプ米大統領はFRBへの「口撃」を続けてきた=ロイター

【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は31日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の継続的な利下げを明言しなかったことについて「いつも通り失望した」とツイッターでなお不満を表した。「私は確かにFRBから多くの助けを得られない!」と強調し、今後も米経済を下支えするため追加の利下げを長期的に続けるよう圧力をかけた。

トランプ氏は「市場がパウエル氏やFRBから聞きたかったのは『(今回の利下げが)中国や欧州連合(EU)などと足並みをそろえる長期的で積極的な利下げの始まりである』ということだ」と失望を示した。「少なくともパウエル氏は量的引き締めを終わらせる。初めから始めるべきではなかった」と指摘した。

トランプ氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まる前から「小幅の利下げは不十分だ」とけん制していた。大統領による金融政策への露骨な政治介入から1年を経て、10年半ぶりの利下げに踏み切ったパウエル氏だが、今後も政治の圧力がやむことはなさそうだ。

「利上げは好ましくない」。トランプ氏が口火を切ったのは2018年7月19日のテレビインタビューだった。ドル高が進む一方、米中貿易戦争が始まり景気先行きに不安が広がった頃だ。それまでは米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長らが利上げをけん制することがあっても、大統領自身は金融政策に直接言及するのを控えていた。

ひとたび一線を越えたトランプ氏の「口撃」は止まらない。FRBが9月に利上げを決めると「うれしくない」と不満をぶちまけた。パウエル氏は中銀の独立性を盾に「政策判断に政治的な要素は加味しない」と初めは政権の風圧に抵抗した。

対立が決定的となったのが年の瀬だ。米株価の下落を嫌うトランプ氏は12月のFOMC直前に「間違えるな」と念押ししたが、パウエル氏は年4回目の利上げに踏み切った。トランプ氏は「市場への感度が鈍い」とこき下ろし、議長職を解任するとの観測も流れた。

年が明けるとパウエル氏は防戦一方に回った。1月には利上げの一時停止を表明したが、それでもトランプ氏は納得せず、4月にかけて自らに近い元実業家と経済評論家の2人をFRB理事に指名した。結局2人は辞退したが、ハト派をFRB内に直接送り込む直接介入だった。

トランプ氏は6月下旬にはFRB議長職を解く権限が「自身にある」と明言し、パウエル氏個人への圧力を強めた。1年前は利上げに反対しつつも「非常に優れた人物」として個人攻撃は避けていたが、今では「素晴らしい仕事をしているとは言えない」と議長の資質にも疑問を投げかける。

市場が追加の利下げを期待する中、パウエル議長は31日の記者会見で「一連の利下げの始まりではない」とクギを刺した。トランプ氏とのせめぎ合いが終わりではないことは確かだ。

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