証券主要19社の4~6月期、16社で最終減益・赤字
主要証券会社19社の2019年4~6月期決算が31日、出そろった。昨年10月以降の株式相場の急落を受けて個人投資家や海外投資家の日本株離れが進み、株式売買や投資信託の販売が低迷。16社が最終減益、または赤字となった。個人が主力の準大手、中堅・中小証券の利益水準はアベノミクス開始前の水準まで落ち込んだ。
同日決算発表した東海東京フィナンシャル・ホールディングス(FH)の4~6月期連結決算は、事業会社の売上高にあたる純営業収益が前年同期比25%減の129億円、純利益が84%減の2億5600万円だった。「1~3月期比では回復傾向にはあるが、高水準だった前年同期には追いついていない」(東海東京FHの川本公英副社長)
5月の大型連休以降、米中貿易戦争の激化などで相場の先行き不透明感が強まり、個人が投資を手控える動きが広がった。このため、個人向け株式売買などが主力の準大手、中小・中堅証券の苦戦が目立った。「日本株、投信とも落ち込んでいる」(岡三証券グループの田中充取締役)
岡三証券、いちよし証券、水戸証券の3社が最終赤字となったほか、東海東京FH、岩井コスモホールディングス、丸三証券、東洋証券の4社が最終減益だった。主要な準大手、中堅中小9社の最終損益の合計額は16億円と前年同期比で68%減少。アベノミクス開始前の12年4~6月期(18億円の赤字)以来の低水準となった。
最終増益となった極東証券、藍沢証券は米国株や新興国通貨などのトレーディング損益の改善が寄与した。「日本株や投信が低迷する中、少しでもリターンが得られそうな新興国債券、通貨などの需要は底堅い」(極東証券の茅沼俊三取締役)
7月以降も日本株の薄商いが続くなど事業環境の悪化に歯止めがかからない。各社は店舗運営の効率化や取扱商品の拡大で収益力向上を図る。岡三証券はグループのオンライン証券とコールセンター機能を10月をメドに統合し一体運営する新会社を立ち上げる。いちよし証券はファンドラップなど富裕層向けビジネスを拡大し「相場変動に左右されにくい収益体制づくりに注力する」(玉田弘文執行役)という。
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