かんぽ問題、見えぬ収束 株売却前の把握は否定

2019/7/31 23:00
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記者会見で頭を下げる日本郵政の長門正貢社長(中)ら(31日、東京・大手町)

記者会見で頭を下げる日本郵政の長門正貢社長(中)ら(31日、東京・大手町)

かんぽ生命保険の不適切販売を受け、日本郵便は31日、他社の保険商品の販売を自粛することや、営業目標を廃止することを正式に表明した。問題の収束に向け動き出すが、契約の適正化などの具体的な対応にはかなりの時間がかかる。かんぽ生命株の売り出しに関する経営陣の認識も火だねとして残る。問題の収束は見通せない。

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日本郵便は不適切な保険契約の問題を受け、すでにかんぽ生命の商品の営業を自粛している。これに加え、日本生命保険や住友生命保険など他社から受託している商品の営業も当面自粛する。損保各社の自動車保険やアフラック生命保険のがん保険は営業を続ける。

日本郵便の横山邦男社長は既存顧客への説明や意向確認に専念するとして「2019年度の営業目標は設定しない」と述べた。かんぽ商品の販売ノルマを廃止する考えを表明したものだ。20年度以降の目標は「保有資産に軸足を置いた目標にする」と説明した。

低金利で貯蓄性の保険商品が売れにくくなった販売実態に、営業目標の見直しが追いついていないことが過剰なノルマにつながっていた。日本郵便の役員と各地の郵便局の職員が意見交換する場を設け、現場の不満や要望を聞くという。

問題の解消に向けて動き出すが、過去5年間で顧客に不利益を与えた疑いのある契約は18万3千件と多数に上ることが分かっている。契約時の状況などの聞き取り調査はこれからだ。かんぽ生命は「これら全てで不利益を生じさせたとは想定していない」と説明する。一方で実際に不利益を与えた件数や契約の復元に伴う費用がどの程度になるかは見通せない。

かんぽ生命は新契約の減少や追加費用が見込まれる。ただ、販売コストも減るとして19年度の業績予想は現時点では据え置くとした。

かんぽ生命株は4月に親会社の日本郵政が1株2375円で売り出し、持ち分を89%から64%に下げた。不適切販売の発覚などで31日終値は1818円まで下がっている。東証1部に上場しており、個人株主を含む多くの投資家に影響が出たとみられる。不正を知りながら売り出したのであれば投資家を裏切る行為だ。経営陣が問題を把握した時期が焦点となる。

日本郵政の長門正貢社長は不適切販売を認識した時期について「郵政の取締役会で議論したのは7月23日が初めてだ」と述べた。4月のかんぽ生命株の売り出し時には「認識していなかった」と強調した。

かんぽ生命は18年度だけでも22件の保険業法違反を金融庁に届け出ている。ただ植平光彦社長は31日の記者会見で「4月の時点では重大だとの認識を持っていなかった」と述べた。

認識の時期をめぐっては29日の政府の郵政民営化委員会でかんぽ生命の担当者が「4月の段階で個別の苦情は把握していた」と発言。民営化委の岩田一政委員長は「問題がある」と指摘し、日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)もこれを受けて「分かった時点で公表するのが適切な情報開示だ」と述べていた。

長門氏は会見で「4月はシロだ」と語気を強め岩田氏と清田氏の発言に「冗談じゃない」とまで述べた。しかし、「認識が遅いじゃないか、との議論はあるかもしれない」とも語っている。

長門氏は外部弁護士による特別調査委員会が年内に報告書を出すのを念頭に「これも参考に責任問題も考えたいが、誰が何をするかはそれをみて検討したい」と述べた。

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