酪農も「働き方改革」、乳搾りも餌寄せもスマート化

2019/7/31 18:31
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酪農関連機器輸入のコーンズ・エージー(北海道恵庭市)が酪農向けに「搾乳」や「餌寄せ」といった作業を自動・省力化できる最新のロボットを公開した。現場では人材不足に悩まされ、頼りにしてきた海外人材についても採用難で、仕事が追いつかない苦境にあるという。一方で、酪農の大規模化に拍車がかかっており、スマート化が待ったなしだ。

コーンズAGは北海道上士幌町で、5月に発売した搾乳ロボットなどを含む「スマート酪農」の現場を公開した。

酪農の規模拡大にあわせて「未瑠来ファーム」(同町)では7月、乳牛240頭に対してオランダのメーカー、レリー社の搾乳ロボを4台導入した。牛が餌を食べに近づくと、食べている間に自動的に搾乳アームが移動し、人を介さず自動で乳搾りする。

空気駆動だった乳房の吸入システムを電動式にしたことで、装着時間を従来より3割短い25秒程度に縮めた。モーターの性能向上で消費電力も25%抑えた。メンテナンス回数も3割減らすなど省人化にこだわった。

アームにはセンサーがついており、牛乳の色や量などを見極めながら集められる。

コーンズAGの南部谷秀人社長は「外国人材に頼ってきたが、獲得競争は激しい。ロボットなどを活用しないと安定した雇用につながらない」と指摘する。同社は従来機種含め搾乳ロボで、2019年度に200台程度の販売を目指す。

見学に来た国見牧場の国見隆一さん(34)は搾乳ロボなどの導入を検討中だ。「牛がスムーズに機械に入って搾乳されていて驚いた。ロボを導入して、家族全員で旅行にいきたい」として、働き方改革の助っ人として期待する。

コーンズは他にも餌を牛の方に寄せることで生産乳量を5~15%程度増やせる餌寄せロボット、牛のストレスを考えた牛舎の設計、牛の個体データをとるタグを含むパッケージ製品など幅広く扱う。

牛舎は牛を固定しない「フリーアドレス」でストレスが少ない。牛につけたタグでは、反すうの回数などで牛の健康状態や発情期を見分ける。これまで1頭ずつ作業者が目で確認していたのが、パソコン上でデータを見られるようになる。今後こうした牛データを活用することも、酪農家にとって利益を生み出す源泉になっていくはずだ。

コーンズAGはオランダの搾乳ロボット大手のレリー社の搾乳ロボを1997年に日本へ導入し、国内で販売シェアの7割を握る。18年にオリックスが完全子会社化した。今後の連携については、「オリックス傘下のグループ会社との連携も視野に入れている」(南部谷社長)。

全国的に酪農家が減るなかで、大規模酪農家は増えている。北海道では特に大規模農家の割合が2割程度と全国(1割強)に比較しても高い。一方、乳製品の需要は高まっており、政府は25年度の生乳生産量の目標を18年度比3%増の750万トンに設定する。

酪農はふん尿など環境への配慮も欠かせない。そのうえで食料自給率を維持しながら、人材難を克服するためにも「牛歩」の対策では立ちゆかないのが実態だ。大規模化でリードする北海道は、他のエリアが追うモデルケースになりそうだ。(西岡杏)

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