欧州中銀の量的緩和 独裁判所が違憲審査

2019/7/31 18:10
保存
共有
印刷
その他

【ベルリン=石川潤】ドイツ連邦憲法裁判所が欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策が違憲かどうか審査を進める。中央銀行が政府の資金調達を直接引き受ける財政ファイナンスにあたるかが最大の焦点だ。ECBは2018年末にいったん打ち切った量的緩和政策の再開に向けた準備に入っており、金融政策の判断に影響する可能性がある。英フィナンシャル・タイムズが報じた。

ECBのドラギ総裁は量的緩和再開も視野に=ロイター

中央銀行が国の借金を直接引き受けるようになると、財政規律が働かなくなって財政赤字に歯止めがかかりにくくなる。ハイパーインフレを引き起こす恐れがあるため、欧州連合(EU)法などが禁じている。

ECBの量的緩和政策は金融市場から大量の国債を買い入れる仕組みで、一部の経済学者などが財政ファイナンスにあたると批判してきた。ECBは、量的緩和は国債を直接引き受けるわけではなく市場に出回った国債を買い入れるだけなので問題ないという立場だ。

訴訟はドイツの経済学者や法律の専門家ら約2000人のグループが起こした。連邦憲法裁判所は17年に「疑わしい」としたものの、欧州司法裁判所に判断を求めていた。欧州司法裁判所が18年末に現在の量的緩和政策は合法と認めたことを受けて、連邦憲法裁判所がドイツの国内法に照らして再び判断する。

戦前にハイパーインフレを経験したドイツでは、量的緩和政策に懐疑的な意見が多い。仮に連邦憲法裁判所が原告寄りの判断をした場合、量的緩和の実務を担う独連邦銀行がこれ以上国債を購入できなくなる可能性もある。量的緩和の拡大に消極的とされる独連銀の幹部が近く証言する見通しであることも波乱要因だ。

問題の背景には、景気減速と低インフレが続くなか、金融政策が限界に近づいていることがある。利下げ余地が乏しくなっており、ECBなどの世界の主要中央銀行は財政政策に近い領域にまで政策の幅を広げざるを得なくなっている。

ECBは25日の理事会で、追加利下げや量的緩和の再開の準備を進める方針を決めた。9月にも追加緩和に踏み切る可能性が高い。量的緩和政策では国債の発行額の3分の1を買い取りの上限としてきたが、再開する場合は上限の引き上げが議論される見通しだ。国債の買い入れをECBが野放図に進めていると受け止められれば、財政ファイナンスとの批判も一段と高まりかねない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]